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果てしなき輝きの果てに
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果てしなき輝きの果てに
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商品レビュー
4.2
13件のお客様レビュー
貧困、麻薬、シングルマザー、失踪が大きな流れ。 警官が犯人である連続殺人はミステリーである本書の主要では無い。 悲しみと後悔、可能性を秘めた小さな救いがこの本の全体に流れている。 楽しめたが貧困描写に量を当て過ぎてだらけてしまう。
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全米の平均数値以上の犯罪率を持つフィラデルフィア。婦人警官ミッキーの語りで広がって行く家族絵図・・とりわけ実妹ケイシーとの軋轢~生い立ちから現在までの語りと状況が軸となり7割ほどが進んでいく。 酷似の内容の繰り返しは過去と現在をない交ぜにしており、泡立ち、潰れて又 泡がというエピ...
全米の平均数値以上の犯罪率を持つフィラデルフィア。婦人警官ミッキーの語りで広がって行く家族絵図・・とりわけ実妹ケイシーとの軋轢~生い立ちから現在までの語りと状況が軸となり7割ほどが進んでいく。 酷似の内容の繰り返しは過去と現在をない交ぜにしており、泡立ち、潰れて又 泡がというエピソードは正直倦んでくる。 後半の100頁、それまでの経緯をなぞるかのような出来事があたかも追認作業の様に雪崩の様にどっどっと。そこからは面白みが高まり、もの悲しい地域性が背景となった薄暗さにほのかな光が点滅、そして肝心のサスペンスの部分が解決へと運ばれる。 薬物依存、廃屋が立ち並ぶ風景と薬を買うお金欲しさからたむろする街娼、小競り合いの果ての暴力・・ 4作目となる筆者、30歳代後半と脂が乗り切った当作は家族、孤独、それをひっくるめての縁をシンプルながらも抑えた筆致でダイナミックに謳い上げている。 当作でも語られるミッキーの出自のオブライエン家の血を語る中で「プホワイト」との近接的な色彩を感じさせられた。 内包された蜜柑を覆う皮・・一袋ごとは種々のコンテンツ~仕事・セックスと恋愛・家族(何世代も繋がって)・同僚との軋轢と友情・妹の仕事仲間も含めた地域社会の繋がり等々ともするとごった煮になりそうな些事をムーアが「伝えたい」と願うメッセカラー(皮)で包含しきった秀作、快作だった。
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- ネタバレ
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これは素晴らしい家族小説、こういう書き方で家族を描くこともできるんだなぁ。素晴らしい! 小説は二部構成。現代パートと過去パート。 母1人で息子を育てるパトロール警官主人公ミッキーの一人称語りで、麻薬と貧困に染まるフィラデルフィア、ケンジントン地区を舞台に物語が進む。 ミッキーの妹はドラッグ依存症で行方不明。若い女性の連続殺害事件が発生し、ミッキーはその被害者が出るたび、妹ではないかと危惧する。妹探しと殺人事件の捜査、子育てに翻弄されるミッキーの姿を描くのが現代パート。 ミッキーと妹もまた、両親に捨てられ祖母に育てられるのだが、その生活は貧しく息苦しく愛情に欠けたものだった。ミッキーの一歩引いた性格とは逆に、明るく活動的な妹、二人は寄り添うように生きていくのだが。 妹の生活が乱れ始めドラッグにおぼれだしていく過程を描くのが過去パート。 貧困、シングルマザー、依存症。絶望的な生活状況とそんな中に忍び込んでくるドラッグの怖さ。 世間の絶望。ホワイトトラッシュと呼ばれる白人労働者層の凝り固まったような思想や生活様式。 現代アメリカが抱える社会問題を生活者の目線で鋭く描き出していく。読んでいて明るくなるような描写はほとんどないのだが、決して絶望ばかりでないのが救い。 他人事ではない。今の日本でも貧困家庭は増えているし、凝り固まった息苦しい思想や排他的で同調圧力を押し付ける社会風潮はネットにも地方社会にもあふれているし、飲酒なんかの依存症はまだまだ多い。 主人公の必死の日々は決して、遠いアメリカの小説に描かれている他人事ではなく、実は我々のすぐそばにある真実なのだろう。 希望をもって生き、その希望を子供や孫たちに受け継いでいくためには…俺たち世代はきちんと生きなアカンなぁと心が引き締められる思いをもって読了。
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