逆ソクラテス

著者、伊坂幸太郎さん（1971～）の作品、ブクログ登録は5冊目になります。 本作の内容は、BOOKデータベースによると、次のとおり。 ---引用開始 「敵は、先入観だよ」学力も運動もそこそこの小学６年生の僕は、転校生の安斎から、突然ある作戦を持ちかけられる。カンニングから始まったその計画は、クラスメイトや担任の先生を巻き込んで、予想外の結末を迎える。はたして逆転劇なるか！？表題作ほか、「スロウではない」「非オプティマス」など、世界をひっくり返す無上の全５編を収録。最高の読後感を約束する、第３３回柴田錬三郎賞受賞作。 ---引用終了

すごく好きだった！本当に最高の読後感！ 『1番の敵は先入観』の連作短編集で、主に小学生の時のお話。小学生の主人公の現在、大人になった未来など時間が行ったり来たりしながら物語が進んでいく。大人が今なのではなく、未来なのがまた良い。 小学生の解像度が高くて、「こんな思いしたな〜」とか「似たようなことあったな〜」って自分の小学生時代の記憶が蘇ってきた。 どこか大人びていて、でも子どもらしい、そんな雰囲気があるそれぞれのキャラがとても魅力的でページをめくる手が止まらない。 大人でも、始めはえ？なんで？と思ってもみんながそれに従っている（ようにみえる）と、段々疑問にも思わなくなってくる。あれ？思っているけれど言えなかったり、みんなと同じにしておこうと従っていたり。この本の主人公たちもそう。でも、そこに転校生が来たり、きっかけがあったりして先入観を打ち破っていく。 「僕はそうは思わない」という安斎の言葉がとても印象に残っている。小学生だった私に言ってくれたような気がして、救われた気持ちになった。 『アンスポーツマンライク』の主人公、歩の後悔や苦しみにはとても共感したし、そこから一歩踏み出すところにれ感動した。希望が見えた終わり方がよかった。それが、というか全ての短編が最後の最後につながっていて、読後感が最高だった！ 絶対に手元に置いて何度も読み返したい。 （場面が切り替わる時の行間にソクラテスやバスケットボールの絵が入っていて、伊坂幸太郎っぽくて好き。）