• 中古
  • 店舗受取可
  • 書籍
  • 書籍

黄金列車

佐藤亜紀(著者)

お気に入りに追加 お気に入り 追加 追加する お気に入りに追加 お気に入り 追加 追加する に追加 に追加する

定価 ¥1,980

¥220 定価より1,760円(88%)おトク

獲得ポイント2P

残り1点 ご注文はお早めに

発送時期 1~5日以内に発送

店舗受取サービス対応商品

店舗受取なら1点でも送料無料!

店舗到着予定

4/22(月)~4/27(土)

商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 KADOKAWA
発売年月日 2019/10/31
JAN 9784041086315

店舗受取サービス
対応商品

店舗受取なら1点でも送料無料!
さらにお買い物で使えるポイントがたまる

店舗到着予定

4/22(月)~4/27(土)

黄金列車

¥220

残り1点
ご注文はお早めに

カートに追加するカートにいれる

商品レビュー

3.6

29件のお客様レビュー

レビューを投稿

2023/09/18
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

恥ずかしながら、第二次世界大戦末期のハンガリーとドイツ、ロシア、オーストリアの関係が整理できておらず、モヤモヤしながら読んでました。途中で調べて見ましたが、もし同じような方がいらっしゃったら、巻末の解説の前半を先に読むことをお勧めします。 脚色が加わっているが、実在した列車の物語。ロシアから攻め込まれる前に、ハンガリー政府がユダヤ人から接収した資産を、国外に運び出すというもの。主人公は、事務担当者として列車に乗り込んだバロル。物語の随所に、バロルの妻、そしてユダヤ人の友人との過去の出来事が回想され、序盤はそれぞれの関係者、背景を理解するのに苦労した。 当初、列車は内務省の管轄下だったが、途中で委員長が行方不明に、もともと委員会は大蔵省の監督下で生まれており、終盤では外務省が管轄を主張。混沌とする中で、任務を全うしようと奮闘するバロル。しかし、もともと誰が何を目指していたのか、何がゴールだったのか、不明なまま。史実でも、一部の資産は委員長とともに行方不明に。しかし、大半の資産は連合国のアメリカが差押さえ、これを元に、ユダヤ人の補償を行ったとか。評価額は当初と比べて大きく低下して、ここでもいろいろな力関係などが働いたと思われ。

Posted by ブクログ

2022/01/22
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ユダヤ人の没収財産を積んだ「黄金列車」を運行するハンガリーの官僚たち。史実に基づいたフィクションですが、佐藤亜紀さんの取材力には相変わらず舌を巻きます。デイヴィッド・ピースの『TOKYO YEAR ZERO』を読んだときの衝撃を思い出しました。 ユダヤ人二世だった友人一家の末路、病んだ末に自殺した妻との思い出を抱え、主人公を乗せた列車がハンガリーからオーストリアまで旅をする。ロードノベルのようです。 軍人が牛耳る時代にあって、公文書と手続きで闘う文民は小賢しく滑稽にも見えますが、この泥臭い忍耐こそが暴力と最も対角にあるものだと言えます。 混沌の最中では記録こそが「命令に背けない公務員」たる自身を助けるのだと、そう信じられる社会の成熟が羨ましいです。

Posted by ブクログ

2022/01/01

ナチスドイツの敗北間近な、とはいえその諸機関はなお稼働を止めていない1944年12月、1台の列車がブダペシュトを出発する。積み荷は、ドイツ軍とハンガリー政府がユダヤ人市民から没収した多額の財宝。乗り込むのは資産を保護管理する任務を負ったハンガリー大蔵省の官僚たちとその家族、保安隊...

ナチスドイツの敗北間近な、とはいえその諸機関はなお稼働を止めていない1944年12月、1台の列車がブダペシュトを出発する。積み荷は、ドイツ軍とハンガリー政府がユダヤ人市民から没収した多額の財宝。乗り込むのは資産を保護管理する任務を負ったハンガリー大蔵省の官僚たちとその家族、保安隊。ドイツ軍が敗走し米軍の砲撃が迫る中、黄金列車は途中で拾った積み荷にくわえて炭鉱主や浮浪児たちをも載せて長く膨れ上り、政府高官や貴族も含む多種多様なゴロツキたちによる脅迫や恐喝、襲撃を退けつつ、4か月にも及ぶ鉄路上の旅を続ける。 巻末の「覚書」で作家が詳しく解説している通り、これは実際に存在した黄金列車の詳細な調査に裏付けられた小説である。ユダヤ資産管理委員長の地位を利用して財宝をくすねようとするトルディ大佐、前職は地方都市の市長で列車の責任者を務める次長アヴァル、ふてぶてしくも有能なミンゴヴィッツなど、主要な登場人物は歴史上実在の人物という。その中に生み出された、ごく地味な中年の事務官僚バログという人物が、この物語に複雑で奥行きのある陰影と重量をもたらしている。 むきだしの暴力の前に、正統性がじりじりと失われていった時代だ。第一次大戦で失った領土を取り戻す機会をうかがってナチスドイツと組んだハンガリー帝国政府は、自らの内側に飢えた狼を呼び入れたことに気がついたときにはすでに首根っこを押さえられ、自国のユダヤ人市民を追い剥ぎ殺害する強盗の片棒を担がされていた。その歯車を担った大蔵省官僚たちは、敗戦に直面し正当な統治が今にも瓦解しようとする局面にあってなお、自分たちの任務はあくまでも国有資産の保護と管理であるとの建前と行政的手続きを堅持することによって、資産を強奪しようとする力に抵抗を続ける。 横暴と、正統な権力との間の、きわめて薄くなってしまった線を守るぎりぎりの攻防。それは、渡した賄賂に対して受領証を要求するといったたぐいの馬鹿馬鹿しさをともなうものでもあるのだが、なお社会的存在であろうとする人間においての重大な闘争であることを、わたしたちは深く肝に銘じるべきであろう。正統性のない公文書の書き換えに命を賭けて抗議をした、あの日本の大蔵省官僚とともに。 と同時に、彼らがぎりぎりで守ろうとする公的権力の正統性は、人間の別の尺度においては、もはや剝き出しの暴力と大差がなくなってしまっていることもまた真実であるのだ。なんとか正当性を維持しようとする官僚たちは、その努力によってユダヤ人市民の合法的迫害をも可能にしてきたのであり、その結果、著しく「軽く」なった親友はあっけなく人間世界を離れてしまった。列車が出発するよりはるか以前に有罪の宣告を受けているバログは、友の代わりにのしかかる巨大な重さと悲しみに引き裂かれながら、辛うじて人の形を保っているように見える。 バログが取引をもちかけられる、不釣り合いなほど高価をつけられた安物の燭台、「赤毛」らが列車から持ち去る切手帳。それら列車に載せられた「国有資産」のひとつひとつに、一冊の本を費やして語られるべき人間の物語があったはずだ。だが今はそれらを知るすべもなく、わたしたちはバログとともに走る列車に取り残される。先の見えない暗い未来に向かって、賭けるべき細い一線を見定めようとしながら。

Posted by ブクログ

関連商品

最近チェックした商品