江戸から伊勢への長旅をサポートする御師。 今回、侍でも町人でもなく、という特殊な職業がテーマになっており、面白かったです。 もちろん剣捌きの場面やミステリー的展開は、今回も楽しめました。 西條奈加さんの物語はいつも出会いとか人情とかが素敵だな。もうだいぶ読んだと思うけれど、まだまだ作品があって、どれを読んでもハマってしまうので、ありがたい限りです。

訳あり材木商に頼まれて、伊勢参りに同行する御師弥五郎。立ち回りあり、人情話ありのエンタテインメント。 「お伊勢参り」の案内人、御師、弥五郎が主人公。 江戸の庶民が、一生に一度でもできれば、恵まれたほうだろう。 そんな楽しみが、お伊勢参り。 お伊勢参りは、江戸の市井小説によく出てくるが、 その案内人の物語は、初めてだ。 なかなか、興味深い。 弥五郎も訳ありだが、用心棒としての役目を依頼する 材木商の清兵衛も訳あり。 「訳あり」というのが、ああ、いろいろ起こるんだろうなと、 期待やドキドキ感を大きくする。 想像通り、伊勢に至るまでの道中、刺客に襲われたり、 道中を共にする仲間が隠し持つ事情から、騒ぎが起こったりと、 楽しませてくれる。 「御師」の役割の意味や、弥五郎と清兵衛の過去も清算され、 大団円。時代小説は、こうでなきゃ。

御師の仕事を知った。コーディネーターと言われるとカッコいい。旅を描いて道中の出来事に対処するに人間性がわかる様になって、とこういう展開好きかも。しかしどれを読んでも面白くて、読み終わった瞬間の満足感が、不思議なんだ。西條奈加さんの心温まる生きてるなと感情が感謝しかない。直木賞の前からずっと好きです。