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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 文藝春秋 |
発売年月日 | 2011/10/14 |
JAN | 9784163809403 |
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商品レビュー
3.7
98件のお客様レビュー
映画では様々な俳優がx代目ボンドを演じているが、小説の世界でも同じようにx代目ボンド、もうジェームズ・ボンド自体がコードネームではないかと思ってしまう。 時代に合わせて、世界情勢も、ボンドに対する制約も、もちろんガジェットもアップデートされているが、ボンドの正義感と女好きは変...
映画では様々な俳優がx代目ボンドを演じているが、小説の世界でも同じようにx代目ボンド、もうジェームズ・ボンド自体がコードネームではないかと思ってしまう。 時代に合わせて、世界情勢も、ボンドに対する制約も、もちろんガジェットもアップデートされているが、ボンドの正義感と女好きは変わらない。 ガジェットが重要な役割を果たすものの、アクションやガジェットが主力でなく、あくまでボンドの判断と行動が物を言う辺り、映画版よりも原作のボンドに近い気がする。 ただし、終盤唐突感が否めないところがあるのが残念。
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ちゃんとボンドになってる ホントのボンド作品を読んでないのでわからないけど・・・ こんなこともできるのね さすが
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最近、新しいキャラクター、コルター・ショーのシリーズを楽しんできたのに、本書は全然楽しめなかった。この作品が出た時代、ディーヴァーは売れっ子の頂点にあって、多作であることはもちろん、シリーズのポイントである警察捜査小説のシリーズも登場当初は大人気だったのが、徐々にワンパターン化...
最近、新しいキャラクター、コルター・ショーのシリーズを楽しんできたのに、本書は全然楽しめなかった。この作品が出た時代、ディーヴァーは売れっ子の頂点にあって、多作であることはもちろん、シリーズのポイントである警察捜査小説のシリーズも登場当初は大人気だったのが、徐々にワンパターン化し中弛みの時期を迎え始めた頃だったのだと思う。 そんな時期に、一応は鳴り物入りで売り出されたのが、原作者イアン・フレミングと数々の映画シリーズによって世界的スパイ・ヒーローとなった007ジェイムズ・ボンドに、ディーヴァーが挑戦するという本作であった。世界同時発売ということで気を持たせたりもした本書だが、何となく嫌な予感がして積ん読本となって書棚を飾り、そのまま長い時代が過ぎてゆく。果たして12年後の今になって、嫌な予感を振り払って手に取った本書。 残念ながら嫌な予感は的中してしまった。007ジェイムズ・ボンドという主人公で、イアン・フレミングの原作に勝てるものは映画ですら難しいとぼくは想っていたので、その予想はそもそも簡単に覆るわけがなかったのだ。『ロシアより愛をこめて』は、映画はもちろん、原作もまた凄まじく傑作であった。スパイとしての騙し合いや新兵器の開発に原作者は重心を置かず、疾駆する列車の中で凄腕の敵手を相手にボンドが肉弾相打つ血腥い死闘を繰り広げる展開をクライマックスとして、読者としての血を滾らせた。 映画は原作の後に観たのだが、当のクライマックス・シーンをショーン・コネリーとロバート・ショーが演じる。アナログ・フィルムなりの古いアクション・シーンだが、原作を読んでいる者にとっては貴重な名シーンであった。ボンドガール女優のダニエラ・ビアンキも良かった。文庫本の表紙に使われた映画の名シーンも忘れ難かった。 さて、そんなボンドというスパイ・アクションをディーヴァー世界に移した本書だが、現代版ボンドという設定なので、映画シリーズみたいに新兵器が次々出てくる仕掛けとは別の意味での、様変わりボンドであった。スマホや電子機器やネット世界を背景にしたジェイムズ・ボンド。それはそれでよいとしても、内容は中途半端にディーヴァーらしくなり過ぎてしまった騙し絵紙芝居のようであった。 危機が迫り、ドカンとやるのだが、実はそれは、なあんだ、こういう展開だったかと読者を騙し欺いてはどんでん返し。こうだと見えた世界が、次の瞬間には仕掛けられていた一幕とわかる、種も仕掛けもあるディーヴァー・ワールドなのだ。それらをリンカーン・ライム・シリーズで楽しんで来た身には、ボンドのライム化はやはり物足りない。というよりも、何となくボンドにはディーヴァーがそぐわない。ボンドはボンドであり、そもそも英国の海外部門スパイでしかないのだ。いわば読者にとっては完成された特徴と個性のボンドが、ディーヴァー世界では無個性に見えてしまうのだ。 だからどのシーンでハラハラしようが、追いつめられようが、すべて騙し絵テクでかいくぐるという約束ができている以上、ボンドの見せるスリルはディーヴァー式お約束事でしかない。ディーヴァー本来のシリーズ主人公のように強い個性やネガティブな弱みや愛すべき私生活がない。ボンドはヒーローであり、恋人は物語ごとに現地調達、秘密組織に所属する特別過ぎる存在なのだ。 リンカーン・ライムや、キャサリン・ダンスや、ジョン・ペラムや、コルター・ショーのように各自の生活感や、個性というディーヴァー手製のアナログ感には到底及ばないのが、ボンドというスーパー格の存在である。ディーヴァーという作家は、ある部分で優秀なれど、ある部分では読者以上に庶民的な、ある意味親密さを感じさせてくれる存在を造形するのが上手い作家であったはずなのだ。 ジェイムズ・ボンドは、そのキャラクター自体が状況の一部みたいなものである。本作では、世界のごみ処分産業と、アフリカのキリング・フィールドと呼ばれる虐殺現場を結びつける巨大悪のシステム、凄腕の殺し屋、といった背景に挑む英国情報部。そんな構図の中で約束されたように動くボンドは、あまり顔も弱みもなく、粛々と業務をこなしているだけのアクション・マシン的存在であるように見えた。ある意味、鳴り物入りの宿命のような読後感であることも含め、ディーヴァーの試みとしては十分とはとても言えない作品としか見えず、たまらなく残念であった。奇抜な騙し絵シーンの積み重ねだけでできた完成パズルみたいな一冊だったのである。
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