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火星年代記 新版
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火星年代記 新版
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商品レビュー
4.1
94件のお客様レビュー
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火星がどんな風に侵略されたか、地球はどんな状況なのか、地球人は何を考え火星へやってきたか、それらをいくつもの短編を読んでいくことで把握できるようになっているのが面白かった。喉元にナイフを突きつけられたような恐怖を味わう話もあったし、心を押しつぶしてくるような話や、詩的で美しい話もある。 目線が変われば見えてくるものも違っていて、それぞれの立場で真実を見せてくれるのが良い。これが一人の主人公の語りであれば偏った情報しか得られないからだ。 いくつか印象的な短編があった。第三探検隊が懐かしさの中で殺された話。地球人の愚かさに抗おうとしたスペンダーの話。火の玉に出会った神父たちの話。死んだ家族を造った男の話。火星人になった話。どれも忘れがたい。きっとこうやって争いや悲しみはひとつひとつ積み上がって、戻れないところまで来てしまうのだなと思った。 ラストの水面を眺めるシーンはゾッとさせられたけれど、それ以降の年代記も読んでみたい。
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評価も感想も非常に難しい。とりあえず詩人、幻想みたいな謳い文句に引っ張られると結構具体的な描写をしていて、拍子抜けするかもしれない。 普通に人が死に、殺し、殺される。地味で淡々としているが、かなり無常でダークな作風だ。ダークといっても暗黒ではなく冷たい暗灰色といった感じ。 かなり読むのにコツが必要で、現実的な先入見は捨てなければならない。火星と言っても当然リアルな火星ではない。しかし人の見た夢の中の火星も違う気がする。地球が見た夢の火星みたいなイメージだ。本人が神話と表現するように幽世みたいな。まあよくは分からないが。 最初は捉え所がなくて微妙だと思ったのだが、終盤に進むにつれ文章のキレ味も増してくる。華氏451度のように文章でぶん殴ってくるような衝撃はないが、やはり表現の核も結論も変わってはいない。 最後に収録されている『優しく雨ぞ降りしきる』と『百万年ピクニック』の表現力や抒情性はやっぱり素晴らしい。 短編集ということだが、各話一応連続性があり、この百万年ピクニックで完成し、そういうことだったのかと納得する作りになっている。 そして三体III下などはある意味この作品の改変バージョンであることに気付く。代表作と呼ばれる理由もそこにあると思う。埋め込まれた後続への種子が咲いたのだろう。創作を通した著者の計画は成功しているのかもしれない。 ただ一つ、年代表記は不要だったと思う。あまりに展開が性急すぎる。 瞬発的な面白さは無いが、徐々に良さが浸透してくるタイプで、ある時ふいに読むと波長が合って頭に入ってくる感じだ。しかしそのタイミングは分からず、読めない時は本当に読めない。読める時も作者が序文で宣言している通り、答えが明快に解るとかではなく、何かスッと感じ入り読めてくるとしか自分には表しようが無い。まあこの序文が最も意味が分からないのだが……。だから面白いという観点では評価出来ず、かなり読み手を選ぶと思う。全く読んだことがないので詳細不明だが、確かに星新一が影響を受けたっぽい作風だが、更に掴み所がなく解り難い話だと思う。キノの旅などが好きな人には刺さるかもしれない。
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「ロケットの夏」から始まる、火星年代記。地球から火星へとやってくる人々。面白い話があれば、怖い話もある。痛烈な風刺もあれば、切なく悲しい話もある。ブラッドベリが描く数々の短編。視覚的にも思い浮かべやすいストーリーが多い。 序盤は夢や希望溢れる話が多いと思いきや、一癖も二癖もある展...
「ロケットの夏」から始まる、火星年代記。地球から火星へとやってくる人々。面白い話があれば、怖い話もある。痛烈な風刺もあれば、切なく悲しい話もある。ブラッドベリが描く数々の短編。視覚的にも思い浮かべやすいストーリーが多い。 序盤は夢や希望溢れる話が多いと思いきや、一癖も二癖もある展開。終盤は物悲しい話が続くが、絶望的な暗さではない。この辺りの匙加減が絶妙。
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