（注）ちょっとネガティブな内容を含みます。 最近では下火だが過去に流行っていた、自己啓発系のセミナーに記者が潜入し詳細を記述した、体験記のような形式。 人間が何かに縋ろうとしたり、社会との関わりの中で自己を規定するしかない以上、この手の洗脳の誘惑は、手を変え品を変え今でも様々なところに存在していると思う。特に組織というものは、その主導者が意識的か否かの違いこそあれ、所属する者の思考を特定の色に向かって染めていく力を必然的に備えてしまうから、自分の身の置き所は気をつけないといけない。環境が人を作る、という言葉の本質が理解できた。 この程度のことで善悪の基準がブレてしまう人間は、何とも愚かで憎らしいな。 この本の内容とは直接関係しないけど、ここ数日やたらと気が立っているのが、SNSで戦争関連のニュースに触れているからだと気がついた。今は余裕がなくて、背景を知ろうとする努力を放棄しているから偉そうなことは言えないし、非常に宜しくない態度であることは分かってるけど、本当に何の情報も届かないくらいの他所でやってくれ。自分の超しょぼい想像力を持ってして、一部の断片的な情報に触れただけでも、そんな思いが湧いて出るほど苦しいな。40日も雨を降らせた神様の気持ちが分かるよ。 みんなもメンタルに気をつけてね。 知らないうちに疲弊するので。

自己啓発セミナーの内容だけではなく、そのビジネス構造まで理解できた。 同セミナーはマルチ経営者が当時流行っていたセラピーの理論をつまみ食いして、受講者の生きる上でのノルマを、現実に直面するものからセミナーの増殖へと書き換えるもの。 宗教との違いも理解できた。 宗教は生きる上での規範を与えるものであるが、同セミナーは一時の熱狂のみでそれを与えてくれない。それゆえに増殖が純化した形で起こり、お金がたんまりと入ってくる仕組み 頭の良い人、ビジネスセンス抜群の人もいるのだなぁと感心した。 また、成熟の前の閉塞感溢れる時代の空気感を掴むことができたのも良かったかなと。

フルメタルジャケットの前半を見終わったときに感じるある種の高揚感（私は感じた）の正体を知る上で参考になりました。 この本を読んで自己啓発セミナーに参加したくなった人も居るとのことですが、同時に自己啓発セミナーというものの危うさも感じるわけで、そういう読み手によって正反対の感想を抱かせるというのは、著者の中立的な視点の賜物で、ノンフィクションとして正解なのかも、と思いました。