図書館で借りた。岩波文庫の白表紙(政治・社会)1冊目。 新聞記者トーマス・ペインが書いたパンフレットで、アメリカが独立に向けて勢いをつけた作品。コモン・センスは共通の考え、ひいては「常識」と訳せる。 独立前のアメリカ大衆は、独立したいと考える層は3割も満たなかったという情勢で、この本で一気に「我々は独立すべきだー！」に流れたという。 たしかに、文章は読みやすく、かつ言っていることは真っ当に感じる。イギリスのために、イギリスの敵を俺たちが戦うのか？税を取られるのか？法を決められるのか？「おかしいよな？そう思わないか？」というメッセージ性は文章から強く感じた。論理的な論文などとは全く気質が違う代物と感じる。世界史を変えた文章の一つなのだと雰囲気を感じ取った。

アメリカ独立宣言だけに止まらず、あらゆる植民地の独立に影響を与えたとされる本書。作者はその時までまったく無名の、地方雑誌（ペンシル ヴェニア•ジャーナル）の編集者。 主張は比喩と時事ネタが多く、大衆が理解できる言葉で書かれている。特に王権の世襲制の不合理に対する畳み掛けるような攻撃が厳しい。 すんなり読めるのは、主義主張がいまや（一部の独裁国家を除き）世界を（少なくとも一度は）制覇した自由と民主主義の主張そのものだからだろう。 P55 「大陸が永久に島によって統治されるというのは、いささかばかげている。自然はけっして、衛星を惑星よりも大きくつくらなかった。」 日中戦争当時の上海の古本屋にあった「コモン•センス」には、この箇所にアンダーラインがあったそうだ。

現イングランド王はその子孫をたどれば，征服者ウィリアムにたどり着く。そのため、イングランドはフランスに支配されるべき、という理屈も可能だ。トマス・ペインPaine『コモン・センス』1776 共和政は小国でのみ可能だとされるが、代議制と民主政を組み合わせることで大国でも可能となる。トマス・ペインPaine『人間の権利』1792