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石原愼太郎の文学(8)
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石原愼太郎の文学(8)
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石原愼太郎の82年の生涯を彩ってきた人生のフラグメント、「時の時」をこれでもかと贅沢に詰め込んだ超短編集。 長編と短編の違い、というのはさまざまなものが考えられる。長編には一種の「カタルシス」が存在している。その小説が重ければ重いほど、長ければ長いほどその快感は増していく。短編には「グルーブ」が存在している。長編ほどの達成感は得られないが、一つ一つの話が区切られているために読む者にリズムを与える。 この本に収録されている『わが人生の時の時』『わが人生の時の会話』は長編と短編のいいところをすべて取った超短編集だ。そこに描かれる「時の時」は引き伸ばせば一つの長編にしてしまえるほど密度が濃い。そんな要素を惜しげもなくトータルで79本も収録している。一つ一つにカタルシスがあり、グルーブがある。とある評論家がこの本を採点していたが、もちろん最高得点を獲得していた。 俺が一番心に残っているのは『わが人生の時の時』の最後の収録されている『虹』という話だ。弟・石原裕次郎が亡くなるときの話だが、この話を読んで俺は涙がこぼれそうになった。「片腕を切り落とされたほうがましなくらい」つらい病的なだるさ。そのため常にうつらうつらしている。そして臨終の直前、心臓が止まったと思えばまた動き出す。死にたくない。何度も生き返り、最後に向う側に行ってしまった時、兄・愼太郎の頭上には虹がかかっていた・・・。死の結晶のような美しさにあふれている短編だ。これを読むだけでも買う価値がある。おすすめです。
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