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美しき日本の残像 朝日文庫

アレックス・カー(著者)

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 朝日新聞社/朝日新聞社
発売年月日 2000/09/14
JAN 9784022642400

美しき日本の残像

¥220

商品レビュー

4.1

34件のお客様レビュー

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2023/12/24

日本の道路計画を連歌に例えている (p.61) のが言いえて妙。そして、連歌で有名な歌が多数知られているとは、私は知らない (無知なだけかもしれないが)。 一方で日本の国民感情に「恥」だけではなく「劣等感」というのも大きなウエイトを占めているのではないかと感じた。貴族への劣等感、...

日本の道路計画を連歌に例えている (p.61) のが言いえて妙。そして、連歌で有名な歌が多数知られているとは、私は知らない (無知なだけかもしれないが)。 一方で日本の国民感情に「恥」だけではなく「劣等感」というのも大きなウエイトを占めているのではないかと感じた。貴族への劣等感、西欧諸国への劣等感、東京への劣等感...。唯一四季がある等々のイデオロギーを強調しておきながら、静かながらも強固な劣等感が自己 (太古からの美意識、文化の) 否定を生み出しているのではないか。同様に、繊細な古い古い美意識を解す教養が無いばかりに、書などの「その意味がわからないと不安で、〔読めるはずと思っている字なのに〕読めない自分が恥ずかしい」(p.123) という劣等感が、判りやすいところ (コンクリートブロックとアルミサッシ、蛍光灯など) に収斂してしまっているのではないだろうか。判りやすいということが、理解不要 (考えなくて済ん) で楽であるというのも、また確かと言えるし。

Posted by ブクログ

2023/07/16

著者のプロフィルを見ると、いったいどんな人かと驚く。 1960年代の少年時代に、米軍付きの弁護士であった父に従い、横浜で2年過ごす。 イェール大学で日本学を学び、その後オックスフォード大学の奨学金で中国学を学ぶ。 日本の大本教関連の団体に就職し、古美術を紹介する活動を行う傍ら、四...

著者のプロフィルを見ると、いったいどんな人かと驚く。 1960年代の少年時代に、米軍付きの弁護士であった父に従い、横浜で2年過ごす。 イェール大学で日本学を学び、その後オックスフォード大学の奨学金で中国学を学ぶ。 日本の大本教関連の団体に就職し、古美術を紹介する活動を行う傍ら、四国祖谷の茅葺古民家の再生活動をする。 古美術のディーラーとして活躍する中で出会ったアメリカの不動産会社の経営者に見込まれ、転職。 バブル期の日本での土地開発にも通訳などとしてかかわったようだ。 その傍ら、再び亀山の古民家を再生し、そこで書家として、文人のような生活をしている… 自分でまとめていても、これが一人の人の経歴なのか?と疑ってしまうほどの幅がある。 本書のもとになった雑誌連載は1990年ごろ。 単行本化は1993年、文庫化は2000年。 そこからさらに20年余が経ってしまったことになる。 本書には随所に、日本の美しさが損なわれていくことへの哀惜が語られている。 日本人には美しい自然があると刷り込まれていて、山がコンクリートに覆われたり鉄塔が林立しているのをみようとしていないという批判は耳が痛い。 本書のあとの「失われた20年」で開発は止まったか、自然破壊は止まったかというとそうでもないから。 むしろ高度成長期に建てられた建物や看板が朽ちるままになって、さらに醜さが増している気がする。 この人の文体は不思議で、一つのトピックに対してほめたかと思ったら、次の段落では批判する。 あるいはその逆。 非常にゆらゆらとしていて、ある意味とらえどころがない。 日本人あるいは日本文化が「子供」のようだという見方もそんな感じ。 本書では日本美術の無邪気さ、自由さを称揚するキーワードでもあったりする。 が、一方で中国文化と比較し、「子供」であるともいう。 自分にとっても、ちょっとわかる気がするが、現代によみがえった中華思想(伝統的な考え方では中国文化を日本流にアレンジしてしまうことはとんでもない野蛮なことだったろう)ではないかと思えてくる。 これにマッカーサーの「日本は12歳の少年」という言葉をかぶせていくので、ちょっと帝国主義的な視線も感じられなくもない。

Posted by ブクログ

2021/07/02
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※このレビューにはネタバレを含みます

 あなたは知らないのでしょう。畳の清潔さ、細枝から垣間見る岩 肌、タヒチのような豊かな雨林、それも日本の美しさということを。 けれど、あなたは知っています。京都や奈良の古い町を見て美しい と感嘆はしても、その心の中では自分たちの現代の生活とは関係が ないことを。いまは日本人が得意な辛抱のとき。私も同じです。ひ と呼吸の時期でもあります。この本は、日本人が自分の足元と周り を見直し、本質への視点をつくるフィルターとなるでしょう。 引用1:葉山の別荘で初めて見た畳は美しく清潔で、部屋は明るく、二階の窓からは遠く富士山を眺めることができて、僕はまるで雲の上に浮かんでいるような気分になりました。 引用2:谷間からは霧がまるでマジックのように湧き上がり、日本独特のデリケートな気の細枝は風に吹かれて羽根のようにふるえ、その合間に岩肌が見え隠れしていました。 引用3:タヒチにあるような火山性の山と、豊かな「雨林」のために、日本は多分、世界で最も美しい国であったと思います。その自然がもう過去のものになりつつあります。 引用4:日本人は京都や奈良の古い町を見て、「美しい」と感嘆はしても、その心の中では、自分たちの現代の生活とは関係がないことを知っています。 引用5:でも「お城に住みたい」という夢は山のお城から芝居のお城へと変わりました。 引用6:言い換えれば、オックスフォードの文明の目盛りは数百年が単位であるということなのでしょう。 引用7:一方、日本人はつまらなさに不満を感じないように教育されていますので、きっと幸せかもしれません。 引用8:北京市民は文化大革命でずいぶん被害を受けましたが、北京市民は北京を愛しています。でも、京都市民は京都は「東京」ではないという事実に耐えられません。 引用9:大阪弁が醸し出す「人間らしさ」は偶然ではないと思います。京都に負けない長い歴史の結果によって成熟した人間らしさです。しかも京都は「病気」なのに、大阪は健康的な町です。 引用10:昔の美が消えていくことは避けられないでしょう。それにしても僕は幸せだったと思います。美しい日本の最後の光を見ることができました。  再読でしたが、いろいろな気付きがありました。徳島の山の中にある古民家改修の印象が強かったのですが、その要素をあえて外して引用してみると、日本の美しさはどこにあり、どのようにすれば感じることができるのか、もしくはできたのか、が語られている本として全く違った読み方ができました。目次の情報が少なかったので、今回あえて英語訳として後に出ている「LOST JAPAN」を購入して並行して読んでみました。併読の効果として、タイトルや目次の構成が単純化され、本の構成がわかりやすくなりました。美しい日本の最後の光を感じることのできる「城」となった古民家や伝統芸能に対する気づきや解説と共に、その背景にある大学、職場、関西の都市が、厳しい批判や皮肉と共に記されています。アレックス・カーを通じて追体験した「美しい日本の残像」から、この自粛連休に失った旅行体験の代わりになるような新たな価値を得ることができた良い読書体験となりました。

Posted by ブクログ

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