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南洲残影

江藤淳(著者)

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 文藝春秋/
発売年月日 1998/03/10
JAN 9784163538402

南洲残影

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2023/07/11

勝海舟が作った『城山』を薩摩琵琶で聞くと平家琵琶で奏する『屋島』に通じるものがある、ともに敗者の「全的滅亡」を奏でる曲譜だから哀しい。 黒龍会の編む『西南紀伝』(全6冊)に依ったことにより、必要以上に薩軍が美化され、滅びの美学的な情緒的表現に偏るきらいがある。むしろ作者はあえて...

勝海舟が作った『城山』を薩摩琵琶で聞くと平家琵琶で奏する『屋島』に通じるものがある、ともに敗者の「全的滅亡」を奏でる曲譜だから哀しい。 黒龍会の編む『西南紀伝』(全6冊)に依ったことにより、必要以上に薩軍が美化され、滅びの美学的な情緒的表現に偏るきらいがある。むしろ作者はあえてそれを意図したのかも知れない。 薩軍三万人で軍資金総額約70万円、対して官軍側約六万人で約4200万円の戦費との戦いであった。 政府の隆盛暗殺の姦謀に対する激怒、それは国を滅ぼそうとしている者たちへの人民の怒りでありその怒りを自分も共有しているからこそ敢えて出師に及ぶ、報国の至情のために挙兵した。と描かれている。 田原坂はこの戦いの最激戦地であるが日本浪漫派の蓮田善明のふるさとでそこに石碑もある。彼は三島由紀夫を世に出す、終戦直後上官を殺して自殺する。 西郷と蓮田と三島、亡びと自裁という共通項。 桐野利秋、篠原国幹、永山弥一郎、村田新八、別府晋介、池上四郎、辺見十郎太、貴島清、小倉処平、増田宋太郎‥‥。彼らを見つめることで西郷を浮かび上がらせる。 まさに多士済々、それぞれ西郷に心酔し幕末から明治の激動期を身を挺して大義に生きた漢(おとこ)たちである。作者の描写に愛情と敬意そして日本の将来のために早逝を惜しむ嘆きが滲む。各人それぞれの出自から学問や留学で形成された人物像が丁寧に描かれている。最後に辞世の句が付され、いずれも純粋で気概に満ちて一際悲しさを誘う。ともに尊皇攘夷に命を賭けた同志が偶々官軍側に位置し、その後権力と富貴を貪る顕官たちは、人生の晩秋期にこのことをどう思ったのだろうか。生き様の問題として、興味を唆られる。 作者は他の大作を描きながら、西郷隆盛と西南戦争のことをこれだけ書くその感性と能力には頭が下がる。反面器用な文章力で洞察を極めるには限界がある。軽い書き流しの印象も否めず、文献を索引して普段の知識をまとめたエッセイのようなものである。

Posted by ブクログ

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