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商品レビュー
3.8
15件のお客様レビュー
著者の自伝的私小説。…
著者の自伝的私小説。淡々とかざらない言葉でストレートに語られる小説。だからこそ、胸に迫ってくる。
文庫OFF
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※このレビューにはネタバレを含みます
ふっと目についた一冊。 鷺沢萠さんはデビュー作以来、読んだことがなかったかもしれない。名前「めぐむ」と呼ばせるのだと、今回改めて認識した。デビュー作は話題になったので、掲載されていた雑誌を買い求めた。同世代で、私は大学生だった。講義で話題にする先生もいたのを覚えている。評者からガラスの器の描写についてちょっと物言いがついていたような記憶もある。 その後、気が付くと、テレビのコメンテーターのような感じで出られてて、すごく貫禄があるように見えた。今考えてみたら、まだ30歳前後だったんだと思う。そしてしばらくして訃報を聞いた。最初の報道では病死のように発表されていた気がするが、そののちほんとうの死因が伝えられて、この人もそういう道を選んでしまったのか・・と思った記憶がある。 解説を書いた酒井順子さんは、彼女の一つの到達点だという。1992年のあたりはちょっと若さ=稚さみたいなものも感じたけど、97年のパジョンの話、02年の在日の方たちとの話になってくるにつれ、こういう話はホント彼女にしか書けないんじゃないか・・と納得した。酒井順子さん曰く「ちょっとした出来心と冒険心」で、筆を絶つことになってしまったのが残念だ。もしかしたら、今、すごい論客になっていたかもしれない。 というようなことを思う一方で、この本に太宰の『人間失格』と同じ種類のペーソスを少し感じてしまったのは、うがった読み方だろうか?
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本書が出てから2年後に亡くなったことを抜きにして読むことができなかった。タクシーの運転手さんの話に「大丈夫だ」と気をしっかり持ち直そうとし、自分を待ってくれている識字教室のオモニたちのためにも行かねばと思っているのにその先に起きたことを思うと胸が締め付けられる。しかし、それは置い...
本書が出てから2年後に亡くなったことを抜きにして読むことができなかった。タクシーの運転手さんの話に「大丈夫だ」と気をしっかり持ち直そうとし、自分を待ってくれている識字教室のオモニたちのためにも行かねばと思っているのにその先に起きたことを思うと胸が締め付けられる。しかし、それは置いておいても、なんと真摯に他者の気持ちを汲み、自分の来し方と向き合った文章だろう。自分が書いたことで祖母にどれだけの苦痛を与えたか、この人は他者が想像する以上の痛みを背負ったに違いない。自分のことを語りながら自分は脇に置き、他者を照らし出した稀有で見事なエッセイ。
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