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敗北を抱きしめて(上) 第二次大戦後の日本人

ジョンダワー(著者), 三浦陽一(訳者), 高杉忠明(訳者)

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 岩波書店/
発売年月日 2001/03/21
JAN 9784000244022

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商品レビュー

4.3

17件のお客様レビュー

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2021/09/04
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感想は下巻の方へ。(まだ読んでないけど) --- 日本国外の誰が想像していたよりも、あるいは日本国内の誰が認識していたよりも、戦争末期の日本は弱体化が激しかったというのが当時の一般的な見方であった。 このあと数年間、事実上すべてのことが、日本は完膚なきまでに敗北したのだという認識のもとに進行した。そうした認識があったために、絶望が、そして冷笑的態度とご都合主義が、根下ろし広がっていったし、同時に、完全な敗北という認識があったから、目前で古い世界が破壊され、新しい世界を想像するほかなくなった人間だけにあり得るような、すばらしい回復力と創造性と理想主義が発揮されることにもなった。こうした状況では、天皇の聖戦を遂行する過程で自分たちはいったいどれくらい他人の人生を破壊したのかをじっくり考えてみようといった気力や想像力や意欲を持てた日本人がほとんどいなかったのも、まずは驚くにあたらなかった。P38 敗戦後、疲労感と失望感が数年間も続いていたが、これは敗北による心の傷が長引いたからというよりは、むしろ戦時に蓄積した疲労が、戦後の指導層の無能とあからさまな腐敗によって増幅されたためであった。長い歴史の尺度で見れば、敗北からの日本の復興は急速であった。しかし、一般の民衆にしてみれば、戦後復興はあまりにも進展が遅く苦痛に満ちたものであった。 戦争に負けたというのに、特権階層の連中は戦争中と同じように景気よくやっているという思いが、一般の人々のやる気を一層失わせた。P120 農民たちが闇に流したのは米や芋であったから、こうした工業用製品は農民とはまったく無関係であることは明らかであった。では、これらの物資はどこから来たのか。答えは明白である。軍事物資を盗み出して隠匿した軍人・実業家・完了・政治家である。P137 耐え難きを耐えるように言われることには、長い戦争の間に日本人は慣れていた。戦争中は、少なくとも目的ははっきりしていた。我らが国家、我らが文化、我らが「国体」が外国の軍隊によって危機にされされているー人々はそう教え込まれたのである。しかし敗戦後の泥沼の中で、耐え難きを耐えよと言われることは、おのずから別のことであった。(略)こうした状況の下では、日本人のあいだに被害者意識が根を張り、この戦争の最大の犠牲者は自分たちだと多くの者が思ったとしても驚くにはあたらなかった。皇軍が遠い異国で見知らぬ民を襲って街や村を廃墟にした話などよりも、自分自身の惨めさのほうがはるかに身近で感覚的にわかりやすかった。P140-141 闇市がはびこり、上から下まで腐敗が進行していた。(略)「自由市場」のあからさまな弱肉強食の実情は、人々にショック療法に似た効果をもたらした。日本の民族と文化は、他に類のない「家族」意識によって互いに助け合い、団結しているのだと人々は教え込まれてきた。作家の坂口安吾が行ったように、人々はこれほどまでに利己的な世界を見たことがなかった。ほんの数ヶ月前にはお国のために喜んで死ぬー(略)といっていた人間たちが、いまや同胞から容赦なく金を巻き上げているのであった。P174 敗戦国・日本におけるアメリカの支配は不変であった。1947年に施行された新憲法のもとで日本人は理屈の上では市民になり、もはや天皇の「臣民」などではなくなった。しかし実際には、日本国民はいぜんとして占領軍当局の「臣民」であった。P266 (日本の)特権的な各層の知識人が、アメリカによる革命を支持し、ブルジョワ民主主義の限界を超えるところにまでこの革命を推し進めようという強い情熱を持つとはだれも予測することができなかったのである。P314 ゼネスト決行への勢いはおさえがたいように思われた。(略)マッカーサー元帥が介入し「かかる致命的な社会的武器に訴えることは許さない」と声明を発表した。(略)急進的な人々は、敵意を剥き出しにして、アメリカは「民衆のための」真の民主主義の欺瞞に満ちた敵であるとみなすようになった。P364

Posted by ブクログ

2018/04/16
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

2001年(原本1999年)刊。著者はマサチューセッツ工科大学教授。上下巻中の上巻。なお増補版は未読。  本書の上巻は、知日派アメリカ人研究者による、占領時代の日本の、社会史・(大衆)世相史である。  いうなれば、吉田茂や東条英機、あるいは昭和天皇といった権力者側から見た占領期の模様ではなく、一般大衆から見た占領期の日常模様を、当時の活字媒体、大衆文化や世相、民衆経済からの視点で叙述していく。よくぞここまで文献渉猟し、まとめ上げたものだと感服する。  また米国人故か、アメリカの占領政策は細やか(しかも、検閲や治外法権など事実を摘示しつつも、批判的ともとれそうな叙述だ)。この点は、日本人研究者の手によるものよりも芳醇であろう。  とはいえ、一般民衆の加害意識の欠如、被害意識だけの蔓延(経済的にも心理的にも、また旧制度からの180°転換という状況故に、絶望かつ虚脱状態であった点は割り引くべきだが)にも鋭く批判の目を向けている。  また、玉音放送の内容から伺える、天皇の共産革命(=支配層からの脱落)の忌避と自己保身性への言及は、なかなか他では(特に日本人研究者から)見ないだろうなとの感。  そして、アメリカの天皇制を維持した間接統治方式(昭和天皇の退位すらない)が、抑圧主義的・権威主義的官僚制を温存。これは、先の統治方式とともに、マッカーサーの帝王的権力行使の在り様と相俟って、占領中は虎の威を借る狐というべきであったが、しかるに独立後は、怖い虎がいなくなったにもかかわらず、狐は虎の仮面を被ったまま、戦後政策と民衆支配を司った。このように日本の官僚システムとその体質を、鋭く指摘するあたりは印象に残る。  つまり、本書は、民衆、あるいは草の根に焦点を合わせ、占領政策への迎合と反駁、上からの民主主義に対する便乗と質的・量的拡大、戦中を彩った国家主義や軍人・軍隊至上主義に対する敗北を契機にした冷笑と軽侮、戦争による甚大な被害に即応した大衆経済(闇市・パイパン)。  健全を押し付け、自由を許容しなかった戦中の反動とも言うべき「カストリ文化」の拡散(性や表現の自由の謳歌)などを、具体的事実と関与した人間模様をビビッドに描くことで、帰納的に浮かび上がらせようとしたものなのだ。  ところで、働き方改革と称して労働基準法が骨抜きにされそうにな状況は未だ変化がない。  ここで、戦前は思想警察担当だった寺本広作(耕作?)が、厚生省(当時)労働基準課課長として労働基準法の法案を策定し、これをGHQへねじ込んで、労働者保護のバイブルというべき法案成立にこぎつけた挿話には驚愕した。

Posted by ブクログ

2017/11/20

第6章 文化人類学者ルース・ベネディクト 日本人は、いわゆる普遍的価値観に基づいて行動するのではなく、状況に即した特殊な倫理に合わせて行動する。とりわけ日本人は権威に対して従順に反応する。 →この議論は、天皇の庇護の下で民主主義を推進するという政策を合理化するのに好都合な根拠を提...

第6章 文化人類学者ルース・ベネディクト 日本人は、いわゆる普遍的価値観に基づいて行動するのではなく、状況に即した特殊な倫理に合わせて行動する。とりわけ日本人は権威に対して従順に反応する。 →この議論は、天皇の庇護の下で民主主義を推進するという政策を合理化するのに好都合な根拠を提供 のちに高名な学者になるグラッド・クルックホーンらは日本の至高の権威である天皇は、基本的にからっぽのようだと主張した。これまで天皇は超国家主義を具現化した存在としてすべての人に支持されてきた。もし、天皇が天皇制民主主義の象徴に変身したとしても、まったく同じように支持を得るだろうというわけである。 第7章 袖井林二郎『拝啓マッカーサー元帥様』手紙の送り主の多くは、マッカーサーを受け容れることと、家父長的な権威を受け容れることや民主主義を受け容れることに違いをはっきり区別していなかった。それを最も露骨に表したのが女性たちが送った独特な一節を含んだ手紙「あなたの子どもを産みたい」カテゴリーと名付けられた。 吉田茂 いかにも保守主義者らしい名言。すなわちGHQと口にするたびに自分の心をよぎったのは、「さっさと国に帰れ」(Go Home Quickly)という言葉だった」

Posted by ブクログ

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