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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 筑摩書房 |
発売年月日 | 1988/12/01 |
JAN | 9784480022752 |
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鬼の研究
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鬼の研究
¥715
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商品レビュー
4.5
18件のお客様レビュー
社会不安の幻影、反体制としての存在、衰退した土地神など、古代〜中世の鬼を様々な文献から分類、体系化して論じられている。 鬼という存在を「鬼にならざるをえず」「凄惨な結果が、きわめて人間的なものの回復をねがうところに生まれた欲求」として、加害者であると同時に被害者であると、そのあは...
社会不安の幻影、反体制としての存在、衰退した土地神など、古代〜中世の鬼を様々な文献から分類、体系化して論じられている。 鬼という存在を「鬼にならざるをえず」「凄惨な結果が、きわめて人間的なものの回復をねがうところに生まれた欲求」として、加害者であると同時に被害者であると、そのあはれを代弁するように引き寄せて語られている所が胸に響いた。 後半の能や面についての中で「小面のひとつひとつが般若に変貌する刹那を保留している」という一文があり、誰もが例外でなく人間の普遍的、本質的な部分だなぁと考えさせられた。 「うらみ」「羞恥」については読んでいて、河合隼雄の「昔話と日本人の心」も思い出した。 すばらしかった。歌集も読んでみたい。
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鬼と山人の関係を豊富な文学作品や歴史記録から考察している労作。鬼は悪と切り捨てないで、鬼の目線から民衆史を構成する。
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「すべての小面のかげにはひとつずつ般若が眠っているのだ」。 能『求塚』のある場面ある表現を見て、筆者はこう思うに至る。 これは1人の少女の内面だけでなく、女性に限らず、すべての人に起こる、生まれるものに違いない。 そう思わせてくれる、『鬼』について主に人間という立場でその正体を...
「すべての小面のかげにはひとつずつ般若が眠っているのだ」。 能『求塚』のある場面ある表現を見て、筆者はこう思うに至る。 これは1人の少女の内面だけでなく、女性に限らず、すべての人に起こる、生まれるものに違いない。 そう思わせてくれる、『鬼』について主に人間という立場でその正体を描いた一冊。 鬼については、解説をかかれた谷川健一氏などが解いた製鉄民との関わりや、武士団盗賊といった現実的勢力、疫神や水神、境界や異界への信仰といったさまざまな視点の本が出されているが、これはどこまでも「人」に寄り添った内容。 物語のほか、能や歌といった人の内面に根付く素材から鬼を見ているのも特徴。 製鉄民や異界といったものからの探求が知的好奇心をともなうなら、これは時に自分自身の苦しみや辛さ、経験にも通じる哲学的というか内省的な視点になる。 「自分のなかに鬼なんかいない」と言い切れる人が果たしてどれだけいるのだろうか? 昨今「コンプライアンス」の名のもとに節分の豆まきや昔話の中の鬼にも配慮をせよ、という話が出てきている。 それはそれでひとつの時代なのだろうけれど、 本書で描かれるような「鬼」たちは 「仲良くしましょう、配慮しましょう、大切にしましょう」 と優しく声をかけるだけでは決して解消されることも、解脱することも、救われることもない。 そういう居場所で人間社会に回帰した鬼の事例も挙げられているが、 身を焼くほど相手を憎みながらも愛しくて愛しくてならないという情念や、権力闘争から弾き出されそれへの思いを絶てない執着や、放逐した相手がそれを恨みに思っているだろうという恐怖、忘れ去られていく昔から涌き出てきた幽鬼、どうしようもない境遇に日を暮らす人の哀切から産み出された暴力、中央への服従を余儀なくされた土着の人々。 これらは生半可な「コンプライアンス」では解決しない。 解決しないどころか、ただ単に綺麗事で臭いものに蓋をしただけにもなりかねない。 「鬼」はなぜ鬼として描かれているのか、を改めて見直す必要があるのではないか。 「衆生本来仏なり」という和讃があるが、それを借りれば「衆生本来鬼なり」。 御息所のように鬼にならねば仏になれなかった存在もまたいる。 それがいいか悪いかはともかく、自分もまた鬼であると思って、この人生を生きていかねばならない。
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