モテセミナーなる講座に参加して脱非モテを図ろうと努める３８歳の主人公。脱チェリーボーイも目論んだ、男を上げる奮闘記といったところだろうか。 基本的にはヒロイン１人に１章の５章立て。つまり、ヒロインは５人もの大所帯である。セミナーを主宰する美貌の講師【美鈴】３２歳より派遣された女性との模擬デートに始まり、職場のマドンナや街中で見かけたフリーライターが後に続く。ここまではセミナーの実践を踏まえつつ、いざ実践しようとしたらヒロインからのアプローチによって望外に事が運ぶような展開をも踏まえつつ、オイシイ状況が続く。ラッキーでもあるのだが、相応に成長もしていく主人公である。 最終的にはフラれた過去がある元後輩との再会によって主人公のスキルが試され、官能的には美鈴先生とのデートがトリを務める構成だが、前段を２人に留めた総勢４人で充分だったように感じられることもあり、全体としてやや窮屈な印象。総じて悪くはないのだが、章末で性急に果てるような官能描写だったので、章を跨いでも構わないから頁をしっかり割いた描き方を望むところである。 講義内容として、女性をエスコートする際の振る舞いにはシチュエーション毎に細かな指南がある。ただし、タイトルには「夜の実践」とあるが、さすがに夜の指南までセミナーでは教授されないので実際は専ら主人公の自習によるＡＶがその役目を担っていたようである。昼のマナーこそ美鈴先生だが夜のテクはＡＶ男優が先生といったところか。 あと、何となくだが、所々で若干ながら詰めの甘さを感じるような気がする。例えば美鈴先生が提案した、最終試験と称した主人公とのデートにおいては意図が不明である。先生の秘密が明かされたことで曖昧になったが、この秘密とデートは無関係なので、本来的に見て、どの生徒にもしていることなのか、もしくは主人公の努力に報いたのか……そうした細かな部分を「デートありき」で済ませては底が見えるというもの。官能描写自体は淫猥度が高いので、その前後の整合性というか辻褄の合わせ方に一工夫あれば、という気がした。重箱の隅突きではあるが、隅を突かせない物語の面白さ、もしくは官能の淫靡さを求むという期待を込めて付記しておく。