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穴
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穴
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商品レビュー
3.2
151件のお客様レビュー
タイトルの“穴”にスリリングさを感じて手に取ったが、奇妙な出来事が起こるけれども不条理を承服するどこまでもリアリスティックな物語だったように思う。現代社会における矛盾や問題に多くの人がそうするように、声をあげず諦観し慣れてゆく様が写し出されているように思う。諦観を抱くような読後感...
タイトルの“穴”にスリリングさを感じて手に取ったが、奇妙な出来事が起こるけれども不条理を承服するどこまでもリアリスティックな物語だったように思う。現代社会における矛盾や問題に多くの人がそうするように、声をあげず諦観し慣れてゆく様が写し出されているように思う。諦観を抱くような読後感は嫌いでは無い。 ▼獣が出てくるなら、村上春樹の「緑色の獣」(収録『レキシントンの幽霊』)くらい突っ切る話を期待していたが違っていたので半読了。またいつか残り二篇を読むことにする。
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漸く家にかえってます。 ってな事で小山田浩子の「穴」 穴 いたちなく ゆきの宿 の3編集。 西加奈子さんの日常生活を綴る感じは似てるかもw いたちなくとゆきの宿は続編になってる。 じゃが、深くはないかなぁ…。 最後に余韻や不満を残す感じの終わり方。 続編が続け...
漸く家にかえってます。 ってな事で小山田浩子の「穴」 穴 いたちなく ゆきの宿 の3編集。 西加奈子さんの日常生活を綴る感じは似てるかもw いたちなくとゆきの宿は続編になってる。 じゃが、深くはないかなぁ…。 最後に余韻や不満を残す感じの終わり方。 続編が続けば面白い展開になるんかなw 2015年24冊目
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小山田浩子『穴』読了。中編で表題作の「穴」、連作短編「いたちなく」「ゆきの宿」の三篇を収録。 「穴」 夫の転勤に伴い彼の故郷の街にやってきたあさひ。非正規の仕事を辞めて求職中だが田舎町で車がないと話にならない場所で、決め手がないままいつになく暑い夏を過ごしている。 そんなある日義...
小山田浩子『穴』読了。中編で表題作の「穴」、連作短編「いたちなく」「ゆきの宿」の三篇を収録。 「穴」 夫の転勤に伴い彼の故郷の街にやってきたあさひ。非正規の仕事を辞めて求職中だが田舎町で車がないと話にならない場所で、決め手がないままいつになく暑い夏を過ごしている。 そんなある日義母に頼まれたおつかいに行くが、途中の川原で奇妙な獣を見かけてあとを追いかけたら突然すっぽりと穴に落ちた。 引っ越して以来夫と夫の実家(というかほぼ義母)以外との交流は無く孤独な毎日を送るが、何もすることがなくても精神的にはあまり変調は来さないんだな。いや、これ自体が変調なのだろうか。いわば今まで見えていた世界と、それに重なるように、見えたり隠れたりするのだけれども、それは不思議で混乱するのだけれどもあさひは自分の中だけに収めようとする。夫は遅くまで仕事で忙しいし、家にいるときもスマホで何かやり取りしていて上の空だったりする。義実家では祖父はうまくコミュニケーションが取れず、父母とも仕事で忙しいようで干渉がほとんど無いのはいいが、義父などほぼ見かけることがない。この辺も案外アバウトなんですよね。 そういうこともあっておかしなこともおかしいままに放置されていて、この作品全体の緩さが形成されている。果たして、あれは何だったんだろうね。 導入部は「市内」のあさひのかつての職場がメインの場面として出てくるが、そこでは存分に現代の世知辛さが当たり前のこととして語られる。そこもまた、おかしな部分ではあるけれどもあさひは「そういうもの」として受け取っているところがあり、そういう意味ではいわゆる現実世界のおかしさも、引っ越した田舎町でのおかしさも同列に語ることができるのかもしれない。小山田作品ってそういうところがあるよなあ。 小山田的マジックリアリズム、とわたしは呼んでいる。 「いたちなく」 男の大学時代の友人が結婚して田舎の一軒家に新居を構えた。さぞや幸せいっぱいかと思いきや、いたちの被害に悩まされているという。そこへ招待され、ともにぼたん鍋をつつくが。 友人二人の会話がやたらと小津口調(戦前戦後くらい?)。これは「穴」にも一部あったことで、明らかな違和感というか、現実の世界と切れているような感触を抱かせるけれども、一瞬のフォークロア的な演出となっているのかな。 ここではいたち対人間、ではあるけれども、男対女という見えない対立もある。女の心境は明かされず、夫たちもあまり気にしていないところかまたおかしみがある。むしろ、いたちに近い。というより……。 「ゆきの宿」 友人夫妻に子供ができた。ある日子供の顔を見に夫婦で訪問すると尋常ではない大雪に見舞われ、友人の家で一晩世話になることになる。「いたちなく」では「となりのばばあ」呼ばわりだった女性も土地固有のいなり寿司を差し入れてくれるが。 これもまた、特に別部屋にこもる友人の妻の奇妙さ、それに異様に親しむ妻の不可思議さが描かれている。女性を、そのまま遠いものとして見ているような。こういう温度差がたまらなくおかしみを呼ぶ。
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