商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 新潮社 |
発売年月日 | 2009/08/27 |
JAN | 9784104061112 |
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巡礼
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ゴミ屋敷に住む独居老人。彼がなぜ他人を寄せつけず、ゴミを集めるようになったかが描かれた小説。 ゴミ屋敷のご近所さんの人間模様が描かれる1章、ゴミ屋敷の主人がなぜそうなってしまったのかを過去から辿る2章、そして主人が自分を取り戻しはじめる3章で展開されます。 いち凡庸な青年のい...
ゴミ屋敷に住む独居老人。彼がなぜ他人を寄せつけず、ゴミを集めるようになったかが描かれた小説。 ゴミ屋敷のご近所さんの人間模様が描かれる1章、ゴミ屋敷の主人がなぜそうなってしまったのかを過去から辿る2章、そして主人が自分を取り戻しはじめる3章で展開されます。 いち凡庸な青年のいたって普通な人生が、戦後社会の変貌、価値観のゆらぎ、人間関係のトラブルなどの小さなつまづきから、少しずつしかし確実に歪んでいく様がスリリングでした。胸が痛くなりつつもページをめくらずにいられない面白さです。 固執というものは、一見それと関係がなさそうなところに因果があるかもしれません。ゴミ集めでなくても、自分の中の偏執的な部分を紐解くと、フタをしていた「理由」がきっと見えてきます。それを見つけること、見つめることはとても恐ろしいですが、私個人としても今後の人生の中でトライしていきたいことの一つです。自分自身を知ることや考えることを諦めて、生きることが「作業」になってしまわないように。
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橋本さんはまなざしの温かいひとだけど ウェットではないな~とあらためて思った 生きる意味ってあると思う人にはあるし 無いと思う人にはないんだ 意味が無いと生きられない? 意味が無くても生きるには 意味の有無を考えなければいいの? そういう生き方は幸せ?
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社会から隔絶してしまった老人を中心に据え、その一生を家族関係、さらには社会の激変とともにリアルに描いている。最後に兄弟という親も子供も介在しない家族(と民間信仰、と言うべきか)による「救い」の訪れも描く。商業高校に合格した主人公を家族四人が「尾頭付き」で祝う場面は、ささやかで貧し...
社会から隔絶してしまった老人を中心に据え、その一生を家族関係、さらには社会の激変とともにリアルに描いている。最後に兄弟という親も子供も介在しない家族(と民間信仰、と言うべきか)による「救い」の訪れも描く。商業高校に合格した主人公を家族四人が「尾頭付き」で祝う場面は、ささやかで貧しいが「家族の幸福」というものが確かにあったことを示す。そこで「尾頭付き」をほぐして兄が弟に与える場面が、最後に訪れる救いの伏線のようにも思えた。 勝手な感想になるが、「老い」のありようを描こうとしたとき、橋本治が『恍惚の人』を思い返さなかったはずはないと思う。有吉佐和子は70年代初頭中流サラリーマン家庭での「老い」をめぐる騒乱を、昭子という「長男の嫁」中心の視点から、単焦点的かつリアルに描いた。いっぽう橋本さんは、迷惑な他者である「ゴミ屋敷老人」を複眼的に各時代のなかに位置付け、彼が家族を失う過程や、「家業とその跡取り」が意味を失っていくことなどと老人の内面を結びつけて、彼を理解しようと試みているように感じる。 80年代のコラム?で、橋本さんは「呆け」を描いたドキュメンタリー映画の評を書いていた。自分の記憶のかぎりでは、「老い」への基本的な視点はその評と変わっていないようにも思う。
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