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グレート・ギャツビー
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グレート・ギャツビー
¥1,100
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商品レビュー
3.8
468件のお客様レビュー
優雅で美しい
毎晩、盛大なパーティーを開く、大金持ち(らしいが謎に包まれた)ギャツビー。隣人ニックとの交流から明らかになる、彼の過去とは……?1920年代のアメリカを象徴する物語として長く愛されてきた、優雅で美しい物語。
fyu
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
大学時代にごろごろいた、金持ちが集まる内部生のグループを思い出す。学生のバイト代ではとても買えないようなブランドのバッグに教科書を詰めて、大人でも泊まれないようなホテルの部屋でバカンスを楽しんだことをInstagramで報告し、恋愛など自分の大事について他人も関心があるものと常に信じており、自分の価値を疑ったことがない。 私は、過度な消費で享楽にふける彼らをバカにしつつも、自分が持たないものを持つ人々として心の中では羨む気持ちを持っていたし、かといって「ああいうふうになりたいか」と聞かれれば迷う(金持ちには金持ちなりの悩みがあるのだろう)、という微妙な感情を抱き続けていた。我ながら、現代の若者らしい苦悩だと思う。 この感情を単に「嫉妬」と片付けるのは、私の人生にままならないものがあると認めることと同義であるような気がして、言語化を諦めていた。そういう状況で出会ったのが、この作品である。 『グレート・ギャツビー」でもっとも好きな表現がある。 「嗅覚を持たぬ金の生み出す願望によって築き上げられたもの(p128~129)」、そして、「世界のすべての神秘とすべての美しさを請け負ってくれる息を吞むような最初の約束(p129)」。 私達のほとんどは、トムやデイジーの世界に入ることはできないし、ギャツビーのように生きることもできない。それでもこの表現を繰り返し読み、リズムを味わうことができたならば、彼らを一人の人間として、ただ羨むだけではなく、俗悪で愚かなものとしても感じることができるし、純粋で美しいものとしても感じることができる。 俗なものが美しいこと、美しいものが俗であること、2つは両立するし、そのリズムの中でほかの意味をも奏でながら、より深いところで調和する。『グレート・ギャツビー』、そしてこの訳は、私がいまを生きるうえでいつくしむべき言葉を与えてくれ、櫂の重たさに手を止めそうになる私のために風が船を押してくれている、そう確かに思えた。
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