神話を語るより、その意味とか、成立背景の考察などが主眼のようです。つまり、基本的な物語をすでに知っている方向けらしく、少し手間取りました。 例えば、「殺害したものを神に捧げると約束をした指導者達には、オーディンは武器を与えた。素晴らしい剣グラムをヴォルスングのシグムンドに与えたように」という文を読んで、剣グラムの挿話を知っていれば「なるほど」となるわけですが、子供向けの断片的な挿話を読んだことがあるだけで、トネリコの木には霊的な力があるとか、ゲームアイテムとしてのラグナロクは実は終末の日のことらしいとか、その程度の知識しかなく、通しでちゃんと読みたいからと当書を選んでしまった私には、ちょっと話が遠い。 にもかかわらず、面白かった。格調高い文章で、北欧神話の世界が漠然と思っていたよりずっと広く深みがあることを教えてくれて、好奇心をかき立てられる。 神々やさまざまな事物の名前の響きにうっとりするのは本筋じゃないけど、遺物・建物などの写真が（モノクロだけど）豊富なのも嬉しい。 大人向けの、長めにしっかりと物語られてる本を捜して読んだ後、再読予定です。

北欧神話は、神々の到来・天地創造・ラグナ　ロクなどがあり、世界の終わりと新たな始まりを描いています。 歴史的には、北欧以外のゲルマン人は、早くからキリスト教化されたため、民族独自の神話や思想を示す書物がほとんど残っていません。そのため、北欧神話はゲルマン人の古来の習俗や精神を理解する上で貴重な資料となっています。