父母と離れ、北国のキャバレーでアルバイトをして日々を無益に過ごす20歳の主人公・章介。そんな中に現れた、どん底タレント3人との1ヵ月の共同生活の模様が描かれた作品。 アルバイトでありながら急遽照明係に命じられた名倉章介、『師匠』と慕うマジシャン・チャーリー片西、シャンソン歌手の『ブルーボーイ』ソコ・シャネル、踊り子『ストリッパー』フラワーひとみ、の4人の物語がとても面白く、でも少し物悲しかった。

極寒の地北海道は釧路の場末のキャバレー『パラダイス』の寮に住む下働きの章介。ネズミが住み着き、臭いを放つ汚いトイレ、そんな場所に章介の父親の骨壺がポツンと。パラダイスの師走のショーに出演するマジシャン、大男のシャンソン歌手、年齢不詳のストリッパーの３人と章介の共同生活は笑いの絶えない、思いやり溢れる人間同士の空間でした。 灯油が切れ、たった１つの反射板ストーブで暖を取る様子や凍えそうな釧路のどんよりとした空など情景描写がとてもわかり易く映画を見ているようでした。読んでる今日はこちらも雪。釧路の寒さを少し体感しているような気持ちになりましたが、こんな寒さではないのでしょうね。 作中『緋の河』のカーニバルの真子の名前が登場したのは桜木紫乃さんの作品を読んでる人なら嬉しい所ですね。

タイトルに惹かれて手に取った。 冬の北海道の、多分場末、という言葉がしっくりくる場所で、その日暮らしの青年と、3人のゲストの一ヶ月の共同生活。 ゲストは、失敗ばかりのマジシャンのおじさん、歌がやたら上手いシャンソン歌手のゲイ、年齢不詳だけどかなり歳がいってるストリッパーの女性、、、 生活の闖入者としては濃ゆい笑 章介の、ただこれしか知らない、この世界があたりまえ、というキャラと世慣れた3人の生活が絶妙なハーモニー、という作品でした。 2024.2.10 20