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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | Pヴァイン/日販アイ・ピー・エス |
発売年月日 | 2020/08/26 |
JAN | 9784909483676 |
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世界文学の21世紀
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世界文学の21世紀
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M-1の敗者復活戦でランジャタイの漫才を見て、これは現代文学だ!と衝撃を受けた。 欽ちゃんが好きなんだよって話してたらもう仮装大賞でありもしない「仏が沼にハマったよ」という演目をしていてそこから唐突になんでも鑑定団になって…という現実の崩壊感が、村上春樹や、フィリップKディックの...
M-1の敗者復活戦でランジャタイの漫才を見て、これは現代文学だ!と衝撃を受けた。 欽ちゃんが好きなんだよって話してたらもう仮装大賞でありもしない「仏が沼にハマったよ」という演目をしていてそこから唐突になんでも鑑定団になって…という現実の崩壊感が、村上春樹や、フィリップKディックのユービックみたいだ!とものすごく感動したのだけど、彼らは投票では最下位になってしまった。 私のこの感動は的外れなのかもしれないけれど、でもなんだか、こういう現実とそうでないものの境界が曖昧になる感覚や、理論からの脱出、近代に作られた様式から超えていこうとする試みは文学や芸術世界に留まらず、最近特に広く多くの場所で行われ始めているんじゃないかという予感がしていた。 そして、この本は、その予感を確信に近づけてくれた。 この本を読んで、世界文学や、映画や、建築や、ネットフリックスや、ノンフィクションの世界において、洗練された技巧や、理論よりも、心地よさや、人間の感覚に立ち返るような方向に進みつつある、ということが語られていると私は解釈した。 心地よいとか、感覚を重視するとかいうと、それは今まで積み上げられてきた理論を学ばない、頭を使うことを回避しているのでは無いか、と思われがちだが、実際は、積み上げた理論に当てはめて機械的に構築することの方が考えることを放棄していると思う。 あるものを見た時、理論も意味も取り払ってそのものを受け取るのは難しいし、そうしたものから離れて受け取った感覚を言葉にするのはもっと難しい。 人間の知覚は言葉や、機械では到底表しきることができないほど複雑なのだから、理論化したものからはみ出た場所に知覚において重要なものが取りこぼされている事がままあるはずなのだ。 そういう点で美術評論家の堪木さんとの対談で語られている「花子」の話がとても印象的だった。 今は論理的な思考や、最高の生産性を求めることで切り捨てたものの大切さに人間が気づきつつある時期なんだろうと思う。 この本の良いところはそれでも人間への希望を感じさせてくれるところだ。 理論や生産性を求め続けた社会は今まさに行き詰まっている。 しかし、もしそうした現行の価値観を取っ払って物を考えることができたなら。 今1人が手に取れるお金よりも、もっと先の未来で皆が共有できる富を考えられたなら。 論理的思考よりも、身体感覚を大切にできたなら。 そしてそうした希望は、社会の本筋とされている人よりもむしろ、軽んじられてきた人々の中にこそ根付いている。 ところで漫才の世界でもこうした現象が起きつつあることがマヂカルラブリーの優勝に表れているのではないだろうか… そして世界がこのままこの方向に進み続けたらいつかランジャタイがM-1優勝することもあるんじゃなかろうか…と私は妄想している。 そしてきっとその世界は今よりも平和になっているんじゃないかと期待している。
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