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ごろごろ、神戸。
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ごろごろ、神戸。
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商品レビュー
4.4
8件のお客様レビュー
まえがきに書いてあったとおり、枕元に置いて、好きなときにちびちび読んでいたら読み終わるのに3年もかかってしまった。 どのエッセイもすごく好き。引用される作品の幅の広さと、ときどきふわっと浮遊する詩的な文章がとても心地いい。 観光客として、神戸のきれいな面しか見ていなかったけど、...
まえがきに書いてあったとおり、枕元に置いて、好きなときにちびちび読んでいたら読み終わるのに3年もかかってしまった。 どのエッセイもすごく好き。引用される作品の幅の広さと、ときどきふわっと浮遊する詩的な文章がとても心地いい。 観光客として、神戸のきれいな面しか見ていなかったけど、この本を読んでもっとディープな面も知ることができ、ますます神戸のことが好きになった。
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「七人の侍」で菊千代こと三船敏郎が、野武士に火を放たれて炎上する農民の家から幼子を抱きかかえて救い出したときの一言-「こいつは俺だ!」 -菊千代が実は焼け出された子どもと同じ貧しい農民の出であり、なぜ野武士を目の敵にするのかを観客に印象付ける名シーンだ。平民金子さんの文章を読んで...
「七人の侍」で菊千代こと三船敏郎が、野武士に火を放たれて炎上する農民の家から幼子を抱きかかえて救い出したときの一言-「こいつは俺だ!」 -菊千代が実は焼け出された子どもと同じ貧しい農民の出であり、なぜ野武士を目の敵にするのかを観客に印象付ける名シーンだ。平民金子さんの文章を読んで、ミフネと同じセリフを叫んでしまった。それくらい彼は私と似ている。 どこが似ているかと言うと- まず40歳を過ぎたエエ年になってから子どもを授かったところ。そして体力的にしんどいなと思いながら、子育てに四苦八苦しているところ。 さらに「人付き合いが苦手」で「スターバックスとサブウェイには一人で入ったことがない。注文の仕方がややこしそうで店員に話しかけるのがおそろしい」というところも一緒。私の場合ココイチも苦手。辛さをどうするかとか何とか店員からマニュアルの一本調子みたいな早口でまくし立てられたら、話しかける以前にできるだけ早くその場を立ち去りたい気分になると思うけどな。 ところで、私が平民金子さんを知ったのは、朝日新聞(大阪版)の月イチ連載「神戸の、その向こう」に目が留まったからだ。 連載ではさすがに個人商店や市場ばっかり巡っていなくて、もうちょっとみんながわかるような神戸について書いているし、子どもも(現時点で)小学校入学直前にまで大きくなっているけど、テイストは連載もこの本も基本的には同じ。連載でも「誕生日は誰ともしゃべらずに過ごす日だと思うから、岸壁で海を見た」(2022.1.24)みたいな、しびれるフレーズが見られてうれしくなる。 一方で私は大阪で生まれ育ち、小学生のとき、たまにホルモンの串にささったやつを鉄板からひょいとつまんで取り、食べながら歩いたクチ。当時ホルモンとキモと串は2種類あって1本10円やった。10円やから小学生でも買えた。(オイルショックで1本20円になったときはショック!) 彼がすごいのは、私のように過去の話をノスタルジックに語るんじゃなく、現在進行形で「ホルモン的」なモンを発見しているとこ。こういうモンは太田和彦さんとかの年代の人でないとなかなか目がいかないと思っていたけれど、私より年下の彼の嗅覚はその意味ですごい。 では、ノスタルジーではなくて平民金子さんは何をこれだけのボリュームで書きたかったのか?私なりにまとめると- 1人の人間が友だちがいなくてしゃべる相手もいなくて、そんなときSNSでつながるのは簡単やけど、つながりとかが何となくジャマクサイこともある。でも神戸の街を少しぶらっとするだけで、1人の気楽さをキープしながら、誰からもイイネと強制されずにエエなと思えるものが見つけられる、そのドキドキ感やと思う。 エエもんちゅうてもそんな大層じゃなく、例えば、ちょっと何かおいしいもんでも食べよかと思って初めての個人食堂に入ったら、客なんか全然いてなくて、その代わりにネコが椅子に丸まって寝てたのを見つけたときの感じ。 つまり“よそいき”でないもの。 写真で撮られることを全然意識していない、写真映えのするもの。 商売なのに商売っ気を感じさせないもの。 そして子どもにだけでなく大人や、そのサイフにまでやさしいもの。 そんなとこかな。
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神戸で子育てしているおじさんのエッセイ。関西に10年住み、まさにいま子育てしているから何度もうなずきながら、時々声を出して笑いながら読んだ。もっと力抜いて子育てしていいかな。
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