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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 筑摩書房 |
発売年月日 | 2019/05/09 |
JAN | 9784480099204 |
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4.3
15件のお客様レビュー
初刷をはじめ途中までは第4SS警察擲弾兵師団を「警察近衛師団」という意味不明な「訳語」を使っていた。第三帝国時代の研究書の翻訳にはマニア向けの知識は必要だといういい例だ。どうしてそういう「訳語」が生まれるのかは知らないけれど。 増補で記されたページで読み取れるように著者やホロ...
初刷をはじめ途中までは第4SS警察擲弾兵師団を「警察近衛師団」という意味不明な「訳語」を使っていた。第三帝国時代の研究書の翻訳にはマニア向けの知識は必要だといういい例だ。どうしてそういう「訳語」が生まれるのかは知らないけれど。 増補で記されたページで読み取れるように著者やホロコースト記念館、ヤド・ヴァシェムなどは第三帝国時代の制服について知識がなかったらしいので被写体が着ている制服が持つ意味を見抜けなかったようだ。特に399頁の写真とバー=ゾウバーの「モサド・ファイル」に掲載された写真は明らかに連続写真なのにヤド・ヴァシェムはポーランドなのかチェコなのか、映っているユダヤ人は誰なのか無茶苦茶な「写真鑑定」をしている。第三帝国時代を「制服の帝国」を評した書名の本があるようにヒトラーから強制収容所の囚人に至るまで決められた制服があり、それらがマイナーチェンジを繰り返した上に勲章や記章類が沢山あるので被写体が着ている制服がどこの所属なのか、身に着けている勲章や記章類がいつ制定されたものなかが分かれば、ある程度は時期を見分ける事が出来るものだ。 ダニエル・ゴールドハーゲンは偽書「断片」を見抜けないのでガス室のある「マイダネクにはユダヤ人の子ども向けの保育園があった」と見做しているようだ。それではゲットーと強制収容所の区別がつかないし、第三帝国時代の警察はSSと一体化している事も知らないフォーサイスの「オデッサ・ファイル」といい勝負だ。 これは行動部隊でも言える事だが警察部隊は「殺す」事が目的なので強制収容所の幹部や看守達と違って「殺される」側からは顔も名前も覚える事が出来ないので「零時」の後に英軍占領下の警察で勤務出来るのだろう。
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何百万人ものユダヤ人を虐殺したのだから処刑に関与した人間は極悪人ばかりだと思いたいが、この本を読むとそうではないというのが良くわかる。 組織の歯車に収まってしまうとおぞましい程の蛮行も気にならなくなり、しまいには効率的で淡々とした殺戮者となってしまう。そこには順応への圧力や面子を...
何百万人ものユダヤ人を虐殺したのだから処刑に関与した人間は極悪人ばかりだと思いたいが、この本を読むとそうではないというのが良くわかる。 組織の歯車に収まってしまうとおぞましい程の蛮行も気にならなくなり、しまいには効率的で淡々とした殺戮者となってしまう。そこには順応への圧力や面子を失うことの恐れなど自分にも見に覚えのあることが関係しており、けして他人事として切り捨ててはいけない問題だと思いました。
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BRUTUS202111合本掲載 評者:田野大輔(社会学、歴史学) 東洋経済2022430掲載 評者:田野大輔(歴史社会学)
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