想像以上にダラダラしていて苦しい。 他人任せで意地っ張りでだらしなすぎるダメ男の大輔と、プライドが高くて言いたいこと言う時にカッとなってしまうめんどくさい女の福。2人の同棲生活に愛情はなくて、ほんとに情というか、依存というか、お互いが「この人でいいや、」を体現していて苦しかった。絶対にそんな男と別れた方がいいよーって思うけど、なれそめとかの細かいところが描かれてない分、恋愛って本当に当事者同士にしか分からないことがたくさんあるよなーって思った。福も大輔という存在に救われてたんかな。 別れるって決めてるのにしちゃうところとか、結局同じ生活を続けてしまうところとか、なんかなあ、ラストのラストまでおいおいおいってなった、でもこういうカップルはこの世に死ぬほどいるんだろう。誰もが誰かに愛し愛されたいって思ってるんだろうな。

恋愛をしてると自分を心底嫌いになることも多いけど、逆にすごい好きになることもある 福と大輔はお互い自分の嫌な部分を曝け出しているから自分のことすごい嫌いになるんだろうけどそれでも一緒にいるからすごい、恋愛ってすごく危ない 読んでてイライラするのは自分にもよく当てはまるからなんだと思うと、もっと気をつけなきゃと思う一方で気をつけられないのが恋愛。 とても難しいですね。

最近千早茜さんの小説を読んで好きになったので、共著も気になり手に取った。 時間を共に過ごすほどすれ違っていく二人の様子がそれぞれの視点で描かれていて、同じ場面でお互いがどう思っていたか、読み手が俯瞰できるようになっていた。 福が大輔の無頓着さや適当さにイライラしている時、大輔は本当はこう言いたかったんだな、でも伝えられなくてどんどんすれ違っていくんだな、と何度ももどかしい気持ちになった。 ほとんどラストまで二人の関係はずるずると続いていく感じだったが、最後の最後で歩み寄ろうとしていて、スカッとする終わり方ではないが、少し温かな気持ちになった。 京輔の言葉に対して「いや、あたし男子トイレ入らねえし、」って心でツッコむ福に一番笑った。