ん〜さすが山白さん！ うわっと背筋が凍るものもあるが、ゾワっとしつつクスッと笑えたり心温まったり。 怖いものが苦手なのでホラーは読まないのだが、山白さんのジャンルはホラーで良いのか？ 山白さんの中の人の感覚というか好みというか、名前が誰になろうと私をくすぐるのがすごいといつも思う。 世界で一番、みじかい小説と布団の中の宇宙、子どもを沈めるが特に好き。 世界で一番…の千冬の冷静沈着なキャラが好き。

きっとジャンル分けをするのなら、ホラーに分類されるのだろうと思う反面、人の生について向き合う命の物語の要素が強めだなぁ、と言う印象。色んな側面からの死を描き、その事が主人公に齎す結果。恐怖を与えつつ、最後は温かい感情を生む。不思議な短編集。 表題にもなっている「私の頭が正常であったなら」がかなり好き。一歩間違えれば精神疾患者と思われる危機の中で、自分を信じた主人公勇気ある行動が印象的。とは言え、罪のない子供が大人から侮蔑される場面はやはり胸が痛みます。

８つ喪失と悔恨の短編集。 怖いというので読んだけれど風味づけぐらいで、リアルな話ばかり。 全てではないけれど子供を失う、又は子供に想起される物語が多かったような。 失ってからその大切さに気づくというけれど、別個の独立した存在なのに自分の生活の仕方すら急にわからなくなるのは、突然の喪失だからなのか、いるのが当たり前なので心体がセーブしていた鈍ったからなのか。 好きなのは子どもを沈めると私の頭が正常であったなら。 最後に希望の光が見えるけれど、まだ闇の中にいるのはわかるし、闇の中にいるのだと気づくから救われるのかしらとも思う。