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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 早川書房 |
発売年月日 | 2017/10/17 |
JAN | 9784151200915 |
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忘れられた巨人
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忘れられた巨人
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4
136件のお客様レビュー
カズオ・イシグロのファンタジー小説。残りのページ数を考えると、読み終えるのがもったいないと思いながらの読書でした。 5世紀以降、グレートブリテン島の先住民族であるブリトン人の世界に、サクソン人が侵攻してくるようになります。ブリトン人は、アーサー王の下で侵入者と戦い、王亡き後も戦...
カズオ・イシグロのファンタジー小説。残りのページ数を考えると、読み終えるのがもったいないと思いながらの読書でした。 5世紀以降、グレートブリテン島の先住民族であるブリトン人の世界に、サクソン人が侵攻してくるようになります。ブリトン人は、アーサー王の下で侵入者と戦い、王亡き後も戦争もなく平和な日々を暮らしていました。 しかし、かつては血で血を争う戦いを繰り広げたブリトン人とサクソン人が、平和理に隣り合わせで暮らせているのは、人々の記憶が忘却の彼方に消え失せてしまう奇妙な現象が関係していました。それは遠い過去だけでなく、ごく最近に起きたことでさえ忘れられてしまいます。 ある時、記憶がなくなる異変に薄々気づき始めた老夫婦が、記憶の片隅を占めている遠い地で暮らす息子に会うため、長年暮らした村をあとにして旅立ちます。それは、2人にとって確かな記憶を取り戻し、夫婦の絆を深める旅でもありました。 そこは、鬼が跋扈し妖精が住む世界。途中、アーサー王ゆかりの竜退治を唱える老騎士、竜の呪いがかかった少年、若きサムソン人の戦士、高徳の修道僧など、さまざまな人たちと出会いや別れを経験し、老夫婦は旅して行きます。はたして二人の行く末は… 最終章だけ船頭が語り手になり、老夫婦と探し求めた息子のことが明らかになります。そこで、最後に老人の言った「霧にいろいろ奪われなかったら、わたしたちの愛はこの年月をかけてこれほど強くなれただろうか。」という言葉が印象的でした。忘れていたからこそ築けた愛と、忘れていた記憶が戻って振り返る過去を思うと、忘れたままの方がいいと自分なら思いますが、夫婦は自分たちの人生を最後に受け入れたところが感慨深かったです。 それにしても、『第二章』の雨宿りに入った廃屋での船頭の発言「そもそも、本来ならわたしたちは今日ここで出会ってはいけなかったんです。」や『ガウェインの追憶-その一』での後家の発言が重要だったんだなと、最後まで読んで気付かされました。 ところで船頭の名前はカロンかも知れないですね。読み終わった後、ロックバンドSTYX(スティクス:ギリシャ神話の三途の川という意味)の名盤Cornerstone 収録『Boat on The River』を聴きながら、いろんなシーンを回想したりしていました。
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なぜか本棚で眠っていた文庫本 読み始めた 〈 ブッカー賞作家の静謐な長篇 遠方の息子に会うため老夫婦は村を出た。戦士、少年、老騎士……様々な人々に出会いながら、ふたりは謎の霧に満ちた大地を旅する 〉 4,5世紀のイギリス 今まで興味もなく、だから分かりにくかった 原題 &qu...
なぜか本棚で眠っていた文庫本 読み始めた 〈 ブッカー賞作家の静謐な長篇 遠方の息子に会うため老夫婦は村を出た。戦士、少年、老騎士……様々な人々に出会いながら、ふたりは謎の霧に満ちた大地を旅する 〉 4,5世紀のイギリス 今まで興味もなく、だから分かりにくかった 原題 "The Buried Giant" 直訳すれば「埋葬された巨大な何か」となるらしい イシグロの言葉 〈『忘れられた巨人』においてわたしが書きたかったテーマは、ある共同体、もしくは国家は、いかにして『何を忘れ、何を記憶するのか』を決定するのか、というものでした〉 平和のために土に埋めて隠した残酷な歴史の記憶 壮大なテーマ 情景描写が美しく苦労しながらも読み進めた 霧に覆われたように静かだった 私たち、何か、忘れさされているような…… ≪ 民族の 記憶と思考 霧の中 ≫
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知っての通り、記憶のことがテーマに据えられたご作品です。 ここには、気高い人たちが何人か登場します。彼らは、意思もまたは剣の腕も強靭です。そのような飛び抜けた才能があり、そして人格も申し分ありません。 けれども、彼らは過去の出来事にとらわれています。その人(民族)のある時の歴...
知っての通り、記憶のことがテーマに据えられたご作品です。 ここには、気高い人たちが何人か登場します。彼らは、意思もまたは剣の腕も強靭です。そのような飛び抜けた才能があり、そして人格も申し分ありません。 けれども、彼らは過去の出来事にとらわれています。その人(民族)のある時の歴史。それは、やり直しが効かないし、彼らは変えるきっかけも見失っています。 さて、主人公は老夫婦であり、怪物に魅入られた少年と彼を導こうとする若い戦士がいます。 夫婦は、記憶がとても曖昧なのを危惧します。彼らだけではありません。この国に住むすべての人が、何かをすぐに忘れます。なぜなのでしょうか? その記憶の曖昧さに対抗するように、忘れかけている息子の住む村へ、老夫婦は旅立つことを決意します。 なぜ、そんなにも記憶に霧がかかるの? 理由はあった。ある丘の洞窟に住む竜の息が、それをしているのだと。 その竜を屠ろうとする騎士がいます。何十年も前に君主であるアーサー王から、その命を受けた老ガウェインです。なぜ、彼は、いまだに竜を殺せないのでしょう? 少年を連れた戦士が、竜を倒すべきというとき、騎士は首を振るのです。そして、彼は竜を仕留めるのは自分だと言い張る。そこにはある謎があります。 記憶によって人は感情を動かされることもあります。忘れられないことが、ぼくたちのパーソナリティの一端を担っているといってもいい。その心理にどんな動きがありますか? 喜び、哀しみ、尊敬、軽蔑、怒り、憎しみ……。 そのようなものに囚われ続ければ、ぼくたちは生き難いでしょう。 人間にとって記憶とはどういうものか。感情を振り回される。そのことに対処する最善の方法を、登場人物たちはそれぞれの方法で確立しています。そして、ある意味彼らは神経症的ですらあります。まるでそうしてこそ、まともな人間であることの証左のように。たとえばあなたは、すべての経験を、生(なま)のまま記憶しているとお思いですか? できなければ、人間の心理はどう動くでしょうか? そして、お互いの絆を信頼するために老夫婦の記憶の行き着いた先とは……。 円卓の騎士伝説の後の時代を思わせる舞台に竜退治を通低音として織りなされる壮大な物語!! 退屈なところは一つもありません!! 終わるまで(終わった後も)気のおけないご作品です!! おすすめします!!
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