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うなぎ女子
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うなぎ女子
¥220
在庫なし
商品レビュー
3.5
16件のお客様レビュー
表紙一杯に脂ののった鰻重が食欲をそそる。正月休みに長男が帰省したら家族でうなぎ屋に行こうって思ってたので手に取った作品。 うなぎを食べるとゆうことは、何か重要なイベントで、人生の節目に立ち向かう女の一本勝負として描かれていました。注文して運ばれてくるまでの待ち時間の長さの緊張と高...
表紙一杯に脂ののった鰻重が食欲をそそる。正月休みに長男が帰省したら家族でうなぎ屋に行こうって思ってたので手に取った作品。 うなぎを食べるとゆうことは、何か重要なイベントで、人生の節目に立ち向かう女の一本勝負として描かれていました。注文して運ばれてくるまでの待ち時間の長さの緊張と高揚感。唾液腺を刺激する香ばしい香りと共に前にウナギを食べたのはいつだったとか誰と食べたとか人生を回想するのにも充分な時間があるようでこの設定は旨いなあって感じました。ただタイトルから連想した内容とは違って昭和臭漂う寅さんのような話なんですよね。 権藤とう不器用で売れない役者に係る女たちの短編集。何故に交友関係について20年も一緒に暮してた彼女に話さなかったのかが、じれったいほど溝を深めていった話です。いつか言おうと思っていたとは思うんですが、現状の関係が崩れてしまうことを危惧して言い出せずズルズルきてしまった感じだから、うだつが上がらない役者とゆうのも頷ける。彼女は男の方から入籍を決意してくれる日がくることを信じて待ってたと思うわけですが。 1話目の別れ話の原因ともいえる内容が2話以降に明かされて、そんなことちゃんと説明すれば問題ないことに思えるんですが、なんだかなぁって感じでやるせない人情噺でした。 3人で同居してた時の話とか、お好み焼き屋をしていた母親と娘の話が印象的でした。 解りづらかったから2度読みしたらしんみりきましたけどね。
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舞台は鰻屋「まつむら」。お不動さんの参道にある古い佇まいの店だ。注文した鰻が焼き上がるまでのひとときで展開する、5人の女たちの人間模様を描いたヒューマンドラマ。 ◇ 笑子は鰻屋まつむらの4人掛けのテーブル席についている。連れの男は店に入るなり手洗いに行ってし...
舞台は鰻屋「まつむら」。お不動さんの参道にある古い佇まいの店だ。注文した鰻が焼き上がるまでのひとときで展開する、5人の女たちの人間模様を描いたヒューマンドラマ。 ◇ 笑子は鰻屋まつむらの4人掛けのテーブル席についている。連れの男は店に入るなり手洗いに行ってしまった。 笑子には20年に渡り同棲している男がいる。権藤佑市という売れない俳優で、当然のことながら稼ぎはない。生活は笑子が営むヴィンテージ物の和服を扱う商売で支えているが、それはかまわない。 だが、どうしても許せない不実を佑市が働いていることに、笑子は気づいてしまったのだった。 今夕はその佑市と、久しぶりにまつむらを訪れている。笑子はある決心をしていたし、佑市もそれに気づいているようだ。 やがて佑市が手洗いから帰ってきた。 (第1章「肝焼き」) 全5章。 * * * * * 各章で主人公を務める5人の女性と、ジョーカー的役割の権藤佑市の身に展開されるドラマは、決して珍しいものではないでしょう。 そして、その6人のような不器用な生き方をしてしまう人が少なくないのも想像に難くありません。 要するに「不幸な身の上」としてよく見聞きする人生が描かれるので、リアリティは十分にあります。 でもこの作品のいいところは、何より主人公の不運な境遇や不器用な生き方を描くだけでなく、最後には各女性たちが自分なりの踏ん切りをつけて生き直す決心をする場面で終わっている点だと思います。 ( 佑市は変わらずですが、あの調子で生きていくものと思われます。) 何か、時代小説によくある、しっとりした人情話のような風情を感じました。 設定のうまさも光ります。 まず、舞台が鰻屋であるということ。 きちんとした鰻屋は注文してから料理が出てくるまで時間を要します。その待ち時間で女性たちの心情を描いていくなんて、なかなか洒落ているなと感心しました。 次に、その女性たちが同日の似たような時間帯にまつむらで鰻が焼けるのを待ちながら、気持ちに踏ん切りをつけていくということ。 決して広くはない店内。そこで ( 多少の時間差はあるものの ) 女性たちのいろいろなドラマが展開していくさまは、想像するだけでワクワクします。 最後に、各章で女性たち1人ひとりを詳細に描きつつ、その女性たち全員と因縁を持つ佑市の側面が少しずつ明らかになっていくということ。これが実によかった。 最初はいい加減で口先だけのクズ男にしか見えなかった佑市像が、章を重ねるにつれ厚みを増していくところは見事でした。 派手さはありませんが、つい読まされる巧みな加藤さんの作品。特に本作は、映像化してほしいと思った物語でした。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
「うなぎ女子」という本のタイトルから ダメな男「権藤佑市」に振り回される 女子達の話かと思いながら読み進めていると 笑子が思っている女子たちと権藤佑市の 関係が話が進むにつれて明らかになり、 権藤佑市の意外な一面がいっぱい出てきて 終盤に進んでいくにつれてガラッと印象が かわって面白かった。なんでうなぎ屋なん? って思いながら読んでいたけど途中で出てくる 「心の隙間を満たすために」うなぎを食べる ってのがグッときたな。大人というか歳を とるとどうしても埋めることができない 心の隙間があってその隙間をほんの ひと時でも埋めるために食べる美味しいもの それが今作ではうなぎだったんですね。 わたしも美味しいものを食べたときは ほんのひと時でも嫌なことが忘れられるもん。 まぁそもそも「権藤佑市」の人生を大きく 変えたものがうな重でしたもんね。 表紙のうなぎも作中に出てくる うなぎ料理の数々も読んでいると 当たり前だけど食べたくなるもんですね。 しばらくしたらわたしも心の隙間を 埋めに行きたいとおもいます。
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