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セカンドハンドの時代 「赤い国」を生きた人びと

スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ(著者), 松本妙子(訳者)

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 岩波書店
発売年月日 2016/09/01
JAN 9784000611510

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セカンドハンドの時代

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商品レビュー

4.6

13件のお客様レビュー

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2023/08/05

クーデターを打ち破り解散したソヴィエト連邦。自由に憧れ、見習ったのは西側諸国。その体制は使い古され疲労が起きていた中古品。共産主義の苦しみと使いこなせぬ資本主義。自ら何かを生み出せない”セカンドハンド”の時代…「共産主義の終わりに死を選んだ元元帥」「元連邦内対立国で起きた男と女の...

クーデターを打ち破り解散したソヴィエト連邦。自由に憧れ、見習ったのは西側諸国。その体制は使い古され疲労が起きていた中古品。共産主義の苦しみと使いこなせぬ資本主義。自ら何かを生み出せない”セカンドハンド”の時代…「共産主義の終わりに死を選んだ元元帥」「元連邦内対立国で起きた男と女の悲恋物語」「地下鉄爆弾テロから生還した母と娘」「チェチェンから棺に入り戻ってきた娘と向き合う母」「ミンスクの不正選挙に対するデモ参加で拘束された女子学生」…インタビューの受け答えの中に埋まる文学。それは発掘でもあり創作でもある。

Posted by ブクログ

2022/11/20

【はじめに】 本書は、スヴェトラーナ・アレクシエービッチの「ユートピアの声」五部作 ― 『戦争は女の顔をしていない』、『ボタン穴から見た戦争』、『アフガン帰還兵の証言』、『 チェルノブイリの祈り』に続く最終作に当たる。ソビエト連邦崩壊を経て、当時のことを振り返る人々の声を集めたも...

【はじめに】 本書は、スヴェトラーナ・アレクシエービッチの「ユートピアの声」五部作 ― 『戦争は女の顔をしていない』、『ボタン穴から見た戦争』、『アフガン帰還兵の証言』、『 チェルノブイリの祈り』に続く最終作に当たる。ソビエト連邦崩壊を経て、当時のことを振り返る人々の声を集めたものとなっている。 【集められた声】 ゴルバチョフ大統領のペレストロイカ政策によって急速に共産主義国家が崩壊し、いびつな形での資本主義への移行がおきた1990年代ロシア。多くの人は非常に貧しく苦しい生活を強いられた。それ以上に、その生活が共産主義時代とさほど変わらなかったとしても、一部の人が大金持ちとなり、貧困が能力の差ともみなされて格差が生まれたことも大きい。信じて従ってきたことが、丸ごと否定されたからだ。そういった中で、驚くほど多くの人があれほど理不尽でもあったソビエト連邦時代のことを「ある意味では悪い時代ではなかった」という形で振り返る。それは、その時代の彼らにとってそれ以外のありようはなかったということでもあり、またある種の理想の中でそれを信じて生きていたことへの郷愁と悲しげな誇りでもあったように聞こえた。その声は「ユートピアの声」と名付けるに相応しい。 この本で取り上げられた声は多様だ。一般の市井の人びと、元共産党員、強制集収容所に行った人たちやその家族、グルジアやアルメニア民族紛争に関わった人たち、自殺をした人びとの家族、地下鉄テロ事件に巻き込まれた人たち。それぞれが、それぞれの物語を持っている。こういった人たちがどう感じていたのかを感情ごと残さないといけないという著者の意志を感じる。かつての密告社会で生きていたことやペレストロイカがやってきたときのことを。それは歴史的に特異なできごとであり、人びとが社会に翻弄された時代であり、そしてときに人びとが積極的にそれに加担をしていた時代だった。70年間続いたソビエト連邦は一種の社会実験場でもあったといえるのかもしれない。 アレクシエービッチは、インタビューの対象として次のような人びとの声を聞いたという。 「わたしがさがしていたのは、思想と強く一体化し、はぎとれないほどに自分のなかに思想を入らせてしまった人で、国家が彼らの宇宙になり、彼らのあらゆるものの代わりになり、彼ら自身の人生の代わりにさえなった、そういう人びと」 彼らは偉大な歴史と自らを同一視し、ある日それが変わったときにうまく適応することができなかった。それほど、理想の国家を信じていた以上に血肉とし、抗ったり変えたりすることを想像できなかった人びとなのではないか。アレクシエービッチは、自分が奴隷であることに気づかず、自分が奴隷であることを愛してさえいた人びとだという。そして、今、スターリンを偉大な政治家として称え、プーチンを崇拝し、中国共産党がうまくやっているとうらやむ人が一定数いる。その理由をおそらく感じとることができるのではないだろうか。 【自分のこと】 1994年の3月、ヨーロッパ・北アフリカへの卒業旅行の帰りに寄ったモスクワで、その前年に起きた10月政変の舞台となった最高会議ビルを見に行った。知り合ったロシアの大学生に案内をしてもらったのだけれど、もっといろいろと彼の声を聞くべきだった。しかし、それだけの背景を知るための好奇心が足りていなかった。まだ傷痕が残る最高会議ビルを紹介する彼の声はどこか寂しそうだった。 【まとめ】 あの時代のソビエトのことを異質で理解不能でもはや起こりえない社会だと考えるべきではない。あのような社会が作られて継続しえて、その中人間というものがそれに加担しながら生きていたということを深く考えるべきなのだと感じた。 ------ 『戦争は女の顔をしていない』(スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ)のレビュー https://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4006032951 『ボタン穴から見た戦争――白ロシアの子供たちの証言』(スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ)のレビュー https://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/400603296X 『亜鉛の少年たち: アフガン帰還兵の証言 増補版』(スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ)のレビュー https://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4000613030 『チェルノブイリの祈り』(スベトラーナ・アレクシエービッチ)のレビュー https://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4006032250

Posted by ブクログ

2022/04/12
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

共産主義下で生きてきた人びとへのソ連崩壊直後から20年以上にわたるインタビュー集。著者のライフワーク「ユートピアの声」完結作。 この2月からロシア発信の報道にまるでWWⅡ当時の過去に生きているような違和感を感じ、手に取りました。 WWⅡの「大祖国戦争」、彼らにとってWWⅡはファシストに打ち勝った偉大な国としての勝利、それを支えに生きてきたのに、結局は資本主義になにもかも奪われた、というのがペレストロイカ。 第1部は1991~2001年、第2部は2002年~2012年の2部構成。話し手やその親族の実体験が多く語られていて辛い内容も多いです。特に第1部のWWⅡから戻った人々の経験は凄惨です。例えば、 ・捕虜交換で戻れても裏切り者と見なされ収容所に6年行かされ、家族の元に戻ってきたときには全身凍傷。 戦争中、ドイツ人が村にやってきてユダヤ人はみな殺し。戦後、占領下にいた人間は要注意人物とみなされた。 第2部はナゴルノ・カラバフや2004年地下鉄テロ、チェチェン、2010年ベラルーシ大統領選挙のデモなど、近年の雰囲気を感じることができます。 ソ連、ロシアでは、「偉大(な国)」や「英雄」がキーワードなのか本書では複数回出てきますが、私が思い浮かべる「偉大」や「英雄」のイメージとはまったく違いました。 読んで思うことは「知ることはできた。」です。理解や共感することはとても難しい。私の「幸せ」と彼らの「幸せ」はたぶん定義が違うのでは?というのが感想です。 2015年に『死に魅入られた人びと―ソ連崩壊と自殺者の記録』(ロシアでは1994年発行)を読み、内容が一部重複している本書もいつか読もうと思っていました。1994年から約20年経った2013年、ロシアで本書が発行され、冒頭部分「社会にソ連邦の需要が生まれた。」(P11)などから1994年と2013年、ロシアの空気が変わったことが感じられます。 ※下記は個人的に印象に残った文章です。 なぜこの本には自殺者の話がこんなに多いのだろうか。(中略)国家が彼らの宇宙になり、彼らのあらゆるものの代わりになり、彼ら自身の人生の代わりにさえなった、そういう人びと。彼らは、偉大な歴史から逃れ、それと決別し、別のやり方で幸福になることができなかったのだ。(P2~3) 私はそれまでお金がどんなものか知らず、お金を軽蔑していたんです。(中略)お金はペレストロイカとともにやってきたのです。(P29) きのう犯罪だったことが、きょうはビジネスなんです。(P32) 「わたしたちにソ連のおとぎ話をしないでください」(P53) 葬っても、葬っても、どうしてもスターリンをうまく葬れない。(P63) これまでずっと信じて生きてきたんです。わたしたちは世界一しあわせで、みたこともない素晴らしい国に生まれたんだって。(P107) だれがなんと言おうとわたしは納得できない。なにかを買って別の場所でちょっと高くそれを売る人が英雄だなんて。(P115) われわれはファシズムとの戦争に勝った、負けなかったのだ。われわれには勝利がある。(P137) ぼくには偉大なロシアは必要ない。(中略)ロシア人の夢は、スーツケースを手にしてロシアからとっとと失せることだ!(P170) 「これは若き英雄です。この人は手榴弾で自爆して、ファシストをいっぱいやっつけたんですよ。みんなも大きくなったら、彼のような人になるんですよ」。(P197、幼稚園の先生の言葉) われわれは地上の天国を建設したかった。うつくしいが、かなわぬ夢だ、人はまだその用意ができていない。(P207) あなたがたには、なにか偉大なものがありますか。なにもない。快適さだけだ。すべてが胃袋のため、十二指腸のため……。(P227) わたしたちは英雄でしたが、赤貧のうちに死んでいくのです。どうぞお元気で。(P233) ぼくと……ぼくの息子と……ぼくの母親……僕らは異なる国に住んでいる、どの国もロシアという名前だけどね。しかし、ぼくらはこわいくらいおたがいに結び付けられている。こわいくらい!みんなが、自分はだまされたと感じているんです。(P347) なにもしないほうがましだ。善も、悪も。今日善だったことが、明日は悪になるんだからね。(P376) レジ主任がいうの。「私たちは勝ったけど、あなたたちロシア人もえらいわね。わたしたちを助けてくれたんだもの」。彼らは学校でそう教わっているのよ。(P492、アメリカにて) 春。おひさま、こんなにぽかぽかした陽気なのに、人びとは殺しあっている。山中に逃げ出したかった。(P505) ……ロシアは偉大な国なんだよ、バルブつきのガスパイプじゃない(P545)

Posted by ブクログ

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