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心理療法論 新装版

C.G.ユング(著者), 林道義

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 みすず書房
発売年月日 2016/08/01
JAN 9784622085478

心理療法論 新装版

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2019/04/07

ユングの開いた心理学を下地にした人間理解は、目に見えないものに対する畏敬と、さうしたものと共に生きていくことの強さに気づかせてくれる。 さうした彼の理論が実際の心理療法でどのやうに展開されてゐるのか、ユングの心理「療法」に手近に触れることのできる一冊だと思ふ。 改めて、彼が実際の...

ユングの開いた心理学を下地にした人間理解は、目に見えないものに対する畏敬と、さうしたものと共に生きていくことの強さに気づかせてくれる。 さうした彼の理論が実際の心理療法でどのやうに展開されてゐるのか、ユングの心理「療法」に手近に触れることのできる一冊だと思ふ。 改めて、彼が実際の患者さんを前にして常に考へ、何が一番患者さんにとつて効果的であるのかを探り続ける支援者であるといふ姿に気づかされる。 他人に巻き込まれながらも、他人に影響を与へねばならない心理療法家の独自性や、患者さんの特性に合はせて適応される治療法が異なること、理論の適応の難しいケースに対する心理療法家の態度、臨床家の倫理といつた心理療法に携はる者の職業人としての在り方を丁寧に示してゐる。 これらすべて、彼が自分の経験の中で培つてきたことである。さうした中で、様々な知見と結び合はせ、その考へをまとめ上げたことは、単に心理学者としてだけではなく、彼が心理学をはみ出たひとりの考へる人間であつたからに間違ひはない。 ケースの中で出会ふ善悪はひとに関はる以上避けられないことである。果たして自死を止めることが患者さんにとつて本当によかつたことなのだらうか。もしかすると、自死によつて彼は自分の人生を取り戻すことになるのではないか。大切なのは、何か答へを出すことではなく、さうしたことを問ひながら患者さんと話していくことだ。あらゆる前提を問へること。裁き人や調停者、指導者ではない、具体的状況に耳を傾けることこそ、唯一のアプリオリ。 だからこそ、個人的無意識の固着であるならフロイト的精神分析による洞察を、無意識に生じる劣等感ならアドラー的な精神分析による補償をと、使ひわける必要があるのだ。さらに、人間は個人的無意識のうちだけで生きてゐるわけではないから、集合的無意識より、聖なるものとして、自身の経験を体験し直すことも必要な場合があるだらうといふのだ。 生きてきたひとの文化が異なれば、当然形作られる習俗、道徳観、心理が異なるといふのは彼からしてみれば当然の帰結である。その差異を明らかにしなければ、それぞれにあつた治療が施せるはずがない。ここに政治的な意図はなかつたはずだ。それが誤解されたことは、彼にとつて大変不名誉なことであつたはずである。それでも彼は、改めて問ひ直せる機会であると批判に耳を傾ける。声を荒げて闘ふことがすべてではない。本来なら、政治的なところから離れて考へたかつたに違ひない。けれど、立場上それが許されないため、彼は相手を見極めるため模索しやうとしてゐたのだらう。さう感じられる。

Posted by ブクログ

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