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わが青春 わが放浪 P+D BOOKS

森敦

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 小学館
発売年月日 2016/01/01
JAN 9784093522489

わが青春 わが放浪

¥330

商品レビュー

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2016/08/08

 森敦の放浪生活のいったんが書かれているとはいえ、やはり記憶に強く残っている物語が繰り返し語られることが多く、わけても作品ともなった月山での生活は特別なものだったようだ。すっかり荒廃した注連寺(ちゅうれんじ)で一冬過ごすことを決めたというのだが、雨戸も朽ちてぼろぼろでふすまと障子...

 森敦の放浪生活のいったんが書かれているとはいえ、やはり記憶に強く残っている物語が繰り返し語られることが多く、わけても作品ともなった月山での生活は特別なものだったようだ。すっかり荒廃した注連寺(ちゅうれんじ)で一冬過ごすことを決めたというのだが、雨戸も朽ちてぼろぼろでふすまと障子をたてて古い祈祷簿で蚊帳をつくりその中で過ごしたという。吹雪けば雪が吹き込んでくるかような様子だったようで、さながらサバイバル生活。  そうかと思えば奈良での暮らしもなんどとなく描かれる。まるでコピーでもしたのかというくらいにほぼ同じ文章が長々と必ずついてまわることにちょっと感動を覚えるくらいだ。奈良公園からつらなる丘陵にあるという瑜伽山(ゆかやま)に暮らしたというのだが、その周辺の風景を描いた部分がまさに一言一句同じといえるような長々とした文章にもかかわらず毎度使われているのだったが、読むたびにそれは美しい風景であるなあと目の奥に想像するのだった。。  そこで不思議な母娘らと出会って町の喫茶店に一緒にでかけたりするのだが、森のことを莫迦にしたような替え歌だったかを作って歌っていたというその娘とどういう縁でか結婚の約束をする。ところがそのまままた放浪にでてしまい 5 年あまりが経過。すでに母娘は事情あって故郷の秋田県酒田市に帰ってしまっているという。さっさといって一緒になりなさいとか周りにいわれて、いや自分はもともと結婚しないつもりなどなかったのだからとか思いつつ酒田へ向かったり。  10 年働いては 10 年遊ぶのがどうやら自分にあっているのだといって奥さんもむしろそれを受け入れていて、仕事などしないであちこち放浪することを望んでいたり。そうはいっても金がなければというところで、どうしてもとなると友人・知人が口をきいてくれたりして、その縁でとある印刷会社に勤めているという。が、出勤するのは週に一日くらいらしく、出勤しても仕事しているのだろうか、という雰囲気ではあるのだった。  印刷所の社長が放浪ばかりしていたということをかえって面白いと思い、働かなくてもいいからというような印象すら覚える。果ては住まいの心配までしてくれて、高台を紹介してくれそこに家をたて娘と暮らしている。はじめはアパート暮らしだったが、風呂もトイレも別。裏の竹やぶが風情があってよかったものを他の住民が暗くて邪魔なので撤去しろといったときにも、森がひとり反対し、やがては他の住民が転居し、手狭なことを理由に四部屋も森は借りることになるものの、それぞれに敷金・礼金やら必要でそれは無駄であろうと家を建てることになったとか。  なんとも荒唐無稽というか、自由奔放というか、まるでそうしたことについて苦にも思っていないという森が不思議でもあり、頼もしくもあり、うらやましくもあり。  まだ若いころの壇一雄や、横光利一や、菊池寛や、太宰治やといった著名なそうそうたる文人との交流の片りんなどもあちこちにあって、それが実にさりげなく、なんというか時代というものを感じたりする。  森敦。実に不思議な、そしてしわせな人だなとあらためて思ったのだった。次はほかの作品も読んでみなくてはと切実に思った。「月山」はやはり読まなくてはなと。 余談:  ペーパーバックということで 600 円という値段はこの時代に破格。昔は文庫も新書ももっともっとずっと安かった。時代とはいえこのくらいの値段で読める環境こそ本には必要なのではなかろうかとも。欲を言えばもう 1 ポイントほど文字サイズが大きければとは。

Posted by ブクログ

2016/04/11

▼電子立ち読みあります▼ http://shogakukan.tameshiyo.me/9784093522489 太宰治らとの交遊から芥川賞受賞までを随想。 昭和49(1974)年、62歳にして『月山』で芥川龍之介賞を受賞した著者だが、弱冠20歳で華々しく文壇デビューし...

▼電子立ち読みあります▼ http://shogakukan.tameshiyo.me/9784093522489 太宰治らとの交遊から芥川賞受賞までを随想。 昭和49(1974)年、62歳にして『月山』で芥川龍之介賞を受賞した著者だが、弱冠20歳で華々しく文壇デビューした後、筆を擱(お)き長い長い流浪の旅に出たのは何故か。あまり世に知られていない、空白の40年間が垣間見える随想録である――。菊池寛に見出され、横光利一の推輓により、毎日新聞で『酩酊船(よいどれぶね)』を連載するなど前途洋々、将来を嘱望された若手作家だった森。同時代を生きた朋友・太宰治、壇一雄との交遊、太宰が『走れメロス』を執筆したエピーソードや、井伏鱒二や尾崎一雄、川端康成、谷崎潤一郎、志賀直哉らの名も日常生活を語る中で登場する。奈良や山形月山などで暮らした日々も綴られている。主に新聞の文化欄に掲載された文章だが、どんな短文にも筋が通った森流論理が窺える。

Posted by ブクログ

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