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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 筑摩書房 |
発売年月日 | 2015/09/01 |
JAN | 9784480432995 |
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さようなら、オレンジ
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さようなら、オレンジ
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商品レビュー
3.8
57件のお客様レビュー
言葉の獲得。 母国語でない言葉を自分のものにできた時、 同時に得られるもの。 オレンジの色彩の先に、それぞれの国に生まれた人たちが ともに希望や未来や、大切にしたいものを見つける。 明日から、オレンジのおひさまを眺める時、 自分の中の勇気や、進む力や友情を 強く感じられるよう...
言葉の獲得。 母国語でない言葉を自分のものにできた時、 同時に得られるもの。 オレンジの色彩の先に、それぞれの国に生まれた人たちが ともに希望や未来や、大切にしたいものを見つける。 明日から、オレンジのおひさまを眺める時、 自分の中の勇気や、進む力や友情を 強く感じられるような気がした。
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どん底スタートで、多少のハプニングがありながらも階段的に良くなっていく小説は沢山ある。この小説も暗い出だしで段々と良くなるんだけど、希望が見えてくるまで長いとてもスロースタートな雰囲気だった。どん底からエンドまで階段的に良くなる話にある牧歌的な雰囲気は無く、リアルさがあった。 し...
どん底スタートで、多少のハプニングがありながらも階段的に良くなっていく小説は沢山ある。この小説も暗い出だしで段々と良くなるんだけど、希望が見えてくるまで長いとてもスロースタートな雰囲気だった。どん底からエンドまで階段的に良くなる話にある牧歌的な雰囲気は無く、リアルさがあった。 しかし、何となく話を掴みにくい。手紙で書かれる主人公の視点、本人視点で書かれるもう1人の主人公の目線。互いに人の呼び名が異なっており、最初すんなりと入ってこなかった。前半の?が響いて助走が不足してしまい、どうも作品世界に惹かれるのが遅くなってしまう。 公判にかけての展開はおもしろかったけれども、ようやく気持ちが入ってきそうな所で読み終えてしまう。惜しい感じの本でした。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
一言で言うなら、言葉の物語だと思った。 主人公のサリマはアフリカから難民としてオーストラリアに渡ってきて、夫に捨てられ、二人の息子を育てるためにスーパーの精肉部門で働いている。夫や息子たちからは馬鹿にされ、孤独を感じながらも、働くのに加えて英語の学校に通い、母語ではない英語を少しずつ学んでいく。その中で友人もでき、息子の学校で自分の故郷について英語で語る機会を得、手元に残った下の息子の友達やその母親との交流の必要性が生まれ、仕事でもどんどん認められて昇進試験の話も出て、自立していくとともに孤独からも抜け出していく。母語に加えてセカンドランゲージとしての英語で第二の人生を切り開いていく様が、ひたむきで、とても心に響いた。 というこのサリマの物語は、実はサリマの友人のハリネズミこと、日本人のイトウサユリが書いた物語である。ハリネズミが恩師に宛てた手紙はサリマの物語の合間合間に出てきていたけれど、その中ではサリマはナキチと呼ばれていて、不思議だなと思っていたら、サリマとはナキチの生き別れの母の名前で、ハリネズミはサリマを主人公にお話を書く、と言っているから、この小説全体の構造はとても複雑なマトリョーシカのようだ。 オレンジは、サリマの故郷の太陽の色である。故郷を離れ、それでも新天地になじめずに家族の中でさえ一人だと感じていたサリマがずっと抱いていた故郷のおひさま。でも周囲との関係を築く言葉を少しずつ手に入れ、夫でも誰でもなく自分の力で生活を築いていくサリマには、新しい未来がひらけている。自分のせいで娘・ユメを死なせてしまったと思っているハリネズミが、ずっと傍に置いていたその遺灰を海に撒く場面も印象的で、そこに差していた夕日の中に、これからは娘の姿を見ようと思うのも、さようならオレンジなのかなと思った。全体的に明るくはないけれど、いずれも前向きに生きていこうという芯の強い前向きな気持ちが、さようなら、オレンジ、に表れているのだと思う。
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