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物語 近現代ギリシャの歴史 独立戦争からユーロ危機まで 中公新書

村田奈々子【著】

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 中央公論新社
発売年月日 2012/02/25
JAN 9784121021526

物語 近現代ギリシャの歴史

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商品レビュー

4.1

18件のお客様レビュー

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2024/03/30

 ギリシャは、古代ギリシャ誕生後、ローマ帝国、ビザンツ帝国、オスマン帝国と、長い間支配された経緯がある。その後、オスマン帝国からの独立をかけて、ギリシャ独立戦争が勃発したが、歴史の教科書では、独立以降のギリシャは大々的に注目されない。本書は比較的マイナーな箇所を取り扱っており、こ...

 ギリシャは、古代ギリシャ誕生後、ローマ帝国、ビザンツ帝国、オスマン帝国と、長い間支配された経緯がある。その後、オスマン帝国からの独立をかけて、ギリシャ独立戦争が勃発したが、歴史の教科書では、独立以降のギリシャは大々的に注目されない。本書は比較的マイナーな箇所を取り扱っており、この本を読むことで、近現代のギリシャの概要を把握できる。  まずギリシャと聞くと、古代ギリシャを連想するが、現在のギリシャの起源は18世紀だと見なすべきである。ギリシャに限らず、近代国家は社会、宗教、民族などのナショナリズムから誕生した。これに加えて、ギリシャ独立戦争の際、西欧列強が勢力均衡のために、ギリシャ側を支援した。これによりギリシャの独立を果たしたが、上記の経緯を見ると、ギリシャ国家は人工的に無理くりできた国家だと認識すべきである。近代化を達成したものの、そのとき壁となったのが公用語、すなわちギリシャ語の採用である。国家の言語として、どの形態を採用すべきかが何度も論争されており、近年まで明確に統一されていなかった。  また、本書では近代から現代における政治家を取り上げるが、特に注目するべきなのが1910年から30年半ばまで首相を務めた「ヴェニゼロス」である。彼は、近代化を進めるうえで産業の発展が重要だと判断した。そこで、道路建設や郵便電信システム等のインフラ整備、農業生産向上に向けての政策、労働者の待遇改善など、次々とギリシャ社会を抜本的に改革した。その点、日本の政治家の大久保利通の政策と共通している。しかし、その後、軍事政権や左派が台頭し、ギリシャ社会の秩序が入り乱れた。このように、近代化を果たしたとはいえ、不安定な状態が続いた。  第2次世界大戦が終結して間もないころ、ギリシャはトルコと共に自由陣営側入りする。これはNATO側が、地政学的リスク、つまり防共という観点から保護した。とはいえ、戦後のギリシャは相変わらず不安定で、1947年以降は、軍事独裁、君主制、保守的官僚と右翼の勢いが増した。なかでも注目すべきなのが、キプロスをめぐってのギリシャとトルコの関係である。キプロスは戦後、イギリスの支配から脱却したが、1974年のトルコ側による軍事侵攻から、ギリシャと関係が悪化している。そのため、キプロス関連の問題は今なお未解決である。終章では、現代ギリシャについて言及されるが、なかでも財政の悪化が問題視されており、こちらも解決の目途が立たない。

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2023/04/25

ギリシャ独立に至る前史から現代まで。そもそもギリシャ人とは? というところから、メガリ・イデアとはどういう背景のもとに生まれたのか? どういう過程をたどったのか? ギリシャ語のカサレヴサとデモティキについてや「兄弟殺し」と言われた内戦の展開、ギリシャ国外のギリシャ人についてなどな...

ギリシャ独立に至る前史から現代まで。そもそもギリシャ人とは? というところから、メガリ・イデアとはどういう背景のもとに生まれたのか? どういう過程をたどったのか? ギリシャ語のカサレヴサとデモティキについてや「兄弟殺し」と言われた内戦の展開、ギリシャ国外のギリシャ人についてなどなど、今のギリシャを知るために不可欠な内容がならんでいる。文章も平易で読みやすい。これは古代ギリシャ好きやビザンツ好きにも必読の一冊かもしれない。

Posted by ブクログ

2018/11/05

場所が悪い。ヨーロッパにとってギリシャとは、19世紀まではイスラム世界との前線だったし、20世紀に入ってからは共産主義との前線だった。おかげで大国の思惑に左右されて自立した国づくりができなかった。やっと冷戦も終わったと思ったら、今度はユーロのおかげでバブって弾けてにっちもさっちも...

場所が悪い。ヨーロッパにとってギリシャとは、19世紀まではイスラム世界との前線だったし、20世紀に入ってからは共産主義との前線だった。おかげで大国の思惑に左右されて自立した国づくりができなかった。やっと冷戦も終わったと思ったら、今度はユーロのおかげでバブって弾けてにっちもさっちも行かなくなってしまった。 古代ギリシャに対する憧れ(自国民自身の憧れ・誇りと、ヨーロッパ世界からの憧れと両方)は、良い面と悪い面の両方があるだろう。 良い面・・・独立への支援、諸外国からの文化的な関心、観光産業 悪い面・・・分不相応な野望(メガリ・イデア)、言語の混乱(カサレヴサ対ディモティキ) しかし、良くも悪くも個人主義的に見えるのは、やはり古代ギリシャの遺風か・ ・ビザンツ帝国時代の「ギリシャ人」のアイデンティティは「ヘレネス」ではなく「ロミイ」、すなわちローマ人であった。広義にはローマ帝国臣民であり正教キリスト教徒、狭義にはギリシャ語話者を指した。このロミイ意識はオスマントルコ支配下でも継続した。アイデンティティの中心は正教徒であることだったので、多神教のパルテノンに畏れこそはらったが、自分たちの歴史とつながっているとは思っていなかった。しかし、オスマントルコからの独立運動が盛り上がると、消極的・保守的な正教聖職者への反発から、ビザンツを軽侮して古代ギリシャへ回帰する思想が現れる。独立の後、やっぱり古代ギリシャから直結でアイデンティティを主張するのは苦しいのでビザンツも再評価される。 ・独立戦争当時のヨーロッパ列強指導層の反応は「ウィーン体制を乱すような余計な真似をしてくれるな」。ギリシャ人の名士層も各々の利害しか眼中になくバラバラだった。しかしバイロンに象徴される古代ギリシャに魅了された人々や自由主義者の残党が熱心に応援した。最後はイギリスとロシアのパワーバランスが独立を後押しした。 ・初代大統領はカポディストリアス。ダ・カーポですな。 ・1832年の独立当初はペロポネソス半島あたりの僅かな領土しかなかった。当時は田舎町に成り果てていたアテネをわざわざ首都にした。コンスタンティノープル奪回を唱えて軍事力もないのに領土拡張を目指した。イギリス、オスマントルコからの割譲、ブルガリアらとのバルカン戦争などで今の領土になった。 ・第一次大戦後に列強にそそのかされて小アジアのスミルナに進駐して、ムスタファ・ケマルのトルコと戦争に。惨敗。領土拡大の野望終了。トルコ領内のキリスト教徒と、ギリシャ領内のムスリムを交換。 ・第二次大戦でドイツに占領される。共産党系のゲリラが抵抗するが、国内も反共主義のために二分されてしまう。兄弟殺し。戦後、共産党は弾圧されて、ドイツに協力した人々が復活する。英米も反共を後押し。 ・黒海南岸出身の「ギリシャ人」ポンドス。黒海からオスマントルコに追われてロシア/ソ連のグルジアへ。グルジアで粛清されて中央アジアやシベリアへ。冷戦終了後ギリシャへ行ってもなかなかなじめず。ディアスポラ。 ・今のパパンドレウって、父も祖父もギリシャの首相をやった人。

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