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笹まくら
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笹まくら
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商品レビュー
4.4
44件のお客様レビュー
ずいぶん前から読みたい本のリストには登録していたが、ようやく読めた。どういうきっかけで知ったのかまったく忘れてしまったが、え、こんな小説だったのか、という驚きがあった。まず題材。日中から太平洋戦争にかけて徴兵を忌避した過去を持つ男が主人公となっている。そういう人もいたのか、という...
ずいぶん前から読みたい本のリストには登録していたが、ようやく読めた。どういうきっかけで知ったのかまったく忘れてしまったが、え、こんな小説だったのか、という驚きがあった。まず題材。日中から太平洋戦争にかけて徴兵を忌避した過去を持つ男が主人公となっている。そういう人もいたのか、という感じで、いや戦争を内心忌避していた人はいただろうし醤油を飲んで徴兵を逃れるような話はこれまでも読んだことがあったが、本作のように身分を偽って全国を流浪することで徴兵を逃れるというのはいままで全く思いもしなかった。そして、構成。現在はコネで得た大学の総務で働く主人公は、逃避行を一緒にした女の訃報に接して、戦時中に心を引き戻されていくが、過去と現在をシームレスに行き来する構成はいまの眼から見てもかなり斬新。それでいてわかりにくさはまったく感じさせないのはさすが大作家の技術が光るということだろうか。
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リービ英雄が引用していた本である。文庫本ではなく、新潮現代文学63の中で読んだ。 徴兵忌避で砂絵描きとして戦争中に生活していた青年が、戦後に私立大学の庶務課長補佐として勤務しているという場面である。高岡の附属高校の庶務係長として赴任するか、退職して他の職業につくかという場面で、...
リービ英雄が引用していた本である。文庫本ではなく、新潮現代文学63の中で読んだ。 徴兵忌避で砂絵描きとして戦争中に生活していた青年が、戦後に私立大学の庶務課長補佐として勤務しているという場面である。高岡の附属高校の庶務係長として赴任するか、退職して他の職業につくかという場面で、戦争中のこと、妻の万引きのこと、大学のことなどいろいろな場面が突然出てくる。
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大学の職員として働く浜田庄吉の現在と、徴兵忌避者として全国を転々としていた過去が交錯する。 突然場面が転換して、はじめは時間軸が把握しづらいが、それが独特のグルーヴを生む。 笹の葉がかすれる音にすら不安を覚える流転の日々。 不安が作品全体の通奏低音となっている。
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