1,800円以上の注文で送料無料

  • 中古
  • 書籍
  • 文庫

雨の日はソファで散歩 ちくま文庫

種村季弘【著】

お気に入りに追加 お気に入り 追加 追加する お気に入りに追加 お気に入り 追加 追加する に追加 に追加する

定価 ¥902

¥440 定価より462円(51%)おトク

獲得ポイント4P

在庫なし

発送時期 1~5日以内に発送

商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 筑摩書房
発売年月日 2010/07/10
JAN 9784480427267

雨の日はソファで散歩

¥440

商品レビュー

3.5

9件のお客様レビュー

レビューを投稿

2024/01/20

「身の回りの一つ二つのものを捨てれば、 かなりの程度世を捨てられるし、 世から捨てられるのである」 今朝(2024年1月20日)の新聞を読んでいて、 この言葉を見つけた(「折々のことば」№2974)。 最後の「世から捨てられる」にドキッとした。 しかもそれを好ましいことのように言...

「身の回りの一つ二つのものを捨てれば、 かなりの程度世を捨てられるし、 世から捨てられるのである」 今朝(2024年1月20日)の新聞を読んでいて、 この言葉を見つけた(「折々のことば」№2974)。 最後の「世から捨てられる」にドキッとした。 しかもそれを好ましいことのように言っている。 解説にある「人と会ってもすぐに忘れてもらえる」 にもドキッとする。 「何かに打ち込みたけれ世に隠れること」 「よく隠れた者こそよく生きた者」※ というのも惹かれる。出典が本書だった。 中野孝二以来の心の書の予感がしたのだ。 作者のことは寡聞にして全く知らなかった。 「季弘」で「すえひろ」と読むことも 初めて知った。 冒頭の「折々のことば」がどこで出てくるのか とりあえず流し読みしてみた。 一巡目では見つからず、 なんだかんだと三巡目。それでも見つからず 四巡目で見つかった。 でも途中面白い箇所が幾つかあって 読み耽ったりもして有意義だった ①「そろそろ成熟した文化のなかの死を、 軽々しく、あっさり死にたいものだ」(P17) ②「オキュパイド銀座」(P23)の銀座の話 ③「とうふと洗濯」(P27)や 「幻の豆腐を思う」(P60)など豆腐や旅の話 ④湯河原にある「藤村ゆかりの宿」を 「藤村(ふじむら)ゆかり」と読む話(P23) ⑤「温泉外人」(P45)や 「永くて短い待合室」(P92)など温泉の話。 総じて温泉、酒、旅、豆腐、文士、古い東京 の話は面白い ⑥「七転び八起きの町へ」(P100)の新宿の話。 コマ劇場は鴨池で浅草の旦那衆が開発した。 「江戸の四駅といえば、開府当初は 東海道の品川、中山道の板橋、日光街道の千住、 甲州街道の高井戸。このうち五街道の出発点の 日本橋から高井戸までは四里八丁。 他にくらべて遠すぎるというので、 あらためて中宿を設けた。だから新宿である」 (P102) 「大田南畝の新宿遊郭が舞台の「甲駅新話」。 「甲駅というのは甲州街道の宿駅というほどの意味」 「新興遊郭の新宿は客も遊女もにわか仕立ての 寄せ集めなのである」 ⑦「銀座の静かさは町のふところの深さから くるもののようだ」(P114) ⑧「幻の同居人」(P148)。 『屋根裏に誰かいるんですよ。』(春日武彦) ⑨「生死まるごとの喜劇 山田風太郎を悼む」 (P159) 「人間が『死に至る存在』であることを見きわめて 余生を喜劇化するのは、子規がいい例」 「人生をぜんぶ余禄、余生と見て、死ぬまでの一切を、 とりわけ死を滑稽事として演じること」 ⑩「文化文政からあと…幕藩体制はもうだめに なっている…生産性はまったくないし、外圧もあって、 もう亡びるだけ…でも、亡びるといっても、きょう、 あしたじゃない…アヘアヘ言いながら 過ぎていっている日常の、つまらないんだけれども、 斜陽の日々が緩慢に傾いていく、 ながいゆったりした時間があった。 それはたぶん人間が死んでいく末期の 時間と似ているんだけれど、そういうものを 江戸の人が最後に楽しんだ時代だったんじゃ ないですか」(P176) 「もう誰もなにも信じていない…ただもう 退屈なんだよね。でも退屈のよさというものが あるわけです。あきらめきって、かえってのんびり している。…もう生産性はまったくないので、 あと一突きされればガラガラといっちゃうという、 そこの寸前のところでヒクヒク呼吸している状態 …柳田国男は、そういう時は旗本なんかがウソの 話を流すんだ、とどこかで書いている」 「どうも江戸の人は、五月の鯉の吹き流しで、 あんまり残さないんですね。残さないよさという ものがある」(P180) ⑪矢川澄子のことを書いた「昭和のアリス」は 白眉 ⑫「地盤がないとユダヤ人と同じで、金貸しになるか 活字という空々漠々たるもので食うしかないんだね」 「今の最初からお金持ちのインテリとは迫力が違う」 「当時の連中は自ら選んだんじゃないってとこもある。 それしか食う道がなかったんだよ」(P207) ⑬「種村さんご自身の強い遺志で、当面はその事実を 公表することなく、密葬がとり行われた。その後も、 少なくとも一年間は、葬儀に類することはしないこと、 その間はもちろん、その後もご家族をわずらわせる ようなことは一切しないという意志は守られ、 やがて一年経つ」(P211 あとがき) というわけで冒頭の言葉だが「名刺」(P37)にあった。以前自分もその隠者ぶりに興味があり 探したことがある池内紀の話だった。

Posted by ブクログ

2022/07/06

本屋さんの雨の日フェアで見かけて、素敵なタイトルだったので購入。 もはやファンタジーと言ってもいいような古き良き日本人の生活(食事・旅行など)についてを中心に博学な著者がユーモラスに語ったエッセイといった感じの本でした。 時折さらっと核心をついていくような、胸に留めておきたい言...

本屋さんの雨の日フェアで見かけて、素敵なタイトルだったので購入。 もはやファンタジーと言ってもいいような古き良き日本人の生活(食事・旅行など)についてを中心に博学な著者がユーモラスに語ったエッセイといった感じの本でした。 時折さらっと核心をついていくような、胸に留めておきたい言葉も散りばめられてとても為になりました。

Posted by ブクログ

2020/08/12

「雨の日はソファで散歩」 真っ白で囲まれた表紙に読書をしている人の絵。 そして、このタイトル。 本好きが手に取らないわけがない(と思えてしょうがない)。 幻の名店を知る。が、訪れる前に閉店。 そのことを「遅刻した」と言う。 こんなに悔しい遅刻があるだろうか。 言葉一つひとつか...

「雨の日はソファで散歩」 真っ白で囲まれた表紙に読書をしている人の絵。 そして、このタイトル。 本好きが手に取らないわけがない(と思えてしょうがない)。 幻の名店を知る。が、訪れる前に閉店。 そのことを「遅刻した」と言う。 こんなに悔しい遅刻があるだろうか。 言葉一つひとつから、情景や心情が伝わってくるようで、心地のいいエッセイだった。 素白を手に歩く…… なんて言われたら、素白でも読み直そうかなと思ってしまう。 文学が文学をつなぐ。それも心地いい。 たとえ一度も開かなくても、本棚に忍ばせておきたい一冊。タイトルを眺めながら、ページをめくらずにただただ積読。それさえも楽しい。 それを飛び越えて読んだいまは、また違った充足感がある。

Posted by ブクログ

関連商品

最近チェックした商品