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生命の哲学
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生命の哲学
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ヨナス中期の研究をまとめたと言える一冊。生命論を人間の倫理まで広げた壮大な構想は、面白いとはいえるものの読後感はあまりよくない。 ヨナスが生命論で訴えたかったことは、「生命の内にも目的はある」ということに集約されると思う。そこから価値の問題、世界そのものの在り方などを語りたいわ...
ヨナス中期の研究をまとめたと言える一冊。生命論を人間の倫理まで広げた壮大な構想は、面白いとはいえるものの読後感はあまりよくない。 ヨナスが生命論で訴えたかったことは、「生命の内にも目的はある」ということに集約されると思う。そこから価値の問題、世界そのものの在り方などを語りたいわけだが、価値観や世界の在り方から生命論を考えているため循環論に陥っている点もある。この問題点は『責任という原理』でも解消されていない。 ただし、ヨナスが踏み込んだ領域は現代ではなかなか語られない点で、議論の地平を切り開いたという点では非常に重要な役割を果たすものだと考える。現代の哲学においては、「わからないもの」「語るべきでないもの」「価値のないもの」などがごちゃごちゃに整理されないままになっており、「面倒なのでそういうものに触れないことにする」姿勢すら存在する。ヨナスには全くそういう臆病さはない。決して20世紀を代表する哲学者と呼ばれることはないだろうが、何世紀経っても細々と参照され続ける哲学者であると予想する。
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