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海辺の悲劇 他三篇
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海辺の悲劇 他三篇
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『海辺の悲劇』1834年・・・哲学的研究 『ルイ・ランベール』の2年後に描かれた本作品は、『ルイ・ランベール』の登場人物のルイ・ランベールとカタレプシーの彼の介護を続けるポーリーヌ・ド・ヴィルノワがブルターニュの海辺の町を訪れた時のことを、伯父の司祭に宛てる書簡の形式で物語に仕上げられている。 バルザックの人間喜劇にみられる人物再現法が明確に用いられ、『ルイ・ランベール』と『海辺の悲劇』では、特に顕著で結びつきが強いため、この二作品は通して読むのが妥当だと思われる。 小説『ルイ・ランベール』のなかで訪れたと書かれているブルターニュの海水浴の二人の旅での出来事が『海辺の悲劇』という作品なのである。 発狂し、28歳でその生涯を閉じたルイ・ランベールが、『海辺の悲劇』では、まずまず正常な精神状態であり、貧しい漁村の生活に同情する。 溺愛して育てた一人息子を自らの手で殺めてしまい、抜け殻のようになった男を岩の上でみかけ、その事情をきいたときもルイ・ランベールは冷静で、脳を焼く熱病が近寄っていると予感しても客観的に悲劇を捉えている。 同級生によって語れた『ルイ・ランベール』は、『海辺の悲劇』では、ルイ・ランベールが書簡小説という体裁をとりながらも語り手となり、善良な漁師が、息子殺しに至る過程を詳細な情景としてリアルに描写する。 漁師の悲劇と数年後に訪れる(このときすでに訪れかけていた)ルイ・ランベールの悲劇に本質的な相違はあるものの二人に通底する不幸を思わずにをえない。 『海辺の悲劇』は寓意小説になりうるものか? 聖書の 放蕩息子のように悔い改める気がさらさらない息子を自らの手で始末した父。 ブルターニュの美しい風景描写は、ベルニー夫人との旅の思い出が反映されているという。 --------------------------------------------------------------------------------- ■小説89篇と総序を加えた90篇がバルザックの「人間喜劇」の著作とされる。 ■分類 ・風俗研究 (私生活情景、地方生活情景、パリ生活情景、政治生活情景、軍隊生活情景、田園生活情景) ・哲学的研究 ・分析的研究 ■真白読了 『ふくろう党』+『ゴリオ爺さん』+『谷間の百合』+『ウジェニー・グランデ』+『Z・マルカス』+『知られざる傑作』+『砂漠の灼熱』+『エル・ヴェルデュゴ』+『恐怖政治の一挿話』+『ことづて』+『柘榴屋敷』+『セザール・ビロトー』+『戦をやめたメルモット(神と和解したメルモス)』+『偽りの愛人』+『シャベール大佐』+『ソーの舞踏会』+『サラジーヌ』+『不老長寿の霊薬』+『追放者』+『あら皮』+『ゴプセック』+『名うてのゴディサール』+『ニュシンゲン銀行』+『赤い宿屋』+『ツールの司祭』+『コルネリュス卿』+『セラフィタ』+『フェラギュス』+『ランジェ公爵夫人』+『金色の眼の娘』+『ルイ・ランベール』+『海辺の悲劇』+『総序』 計33篇
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