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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 新潮社 |
発売年月日 | 2008/08/30 |
JAN | 9784105900687 |
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見知らぬ場所
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見知らぬ場所
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商品レビュー
4.6
48件のお客様レビュー
家族における隔たりをことさらに強調するのではなく、ある種の前提や柔らかな諦めとして受け入れている、そんな印象がラヒリの文章にはある。 この距離感と感覚が、いまの僕にとっては心地よい。 インドからの移民第一世代である両親とアメリカ流の価値観の違いから軋轢が生じた子供時代は既に回想...
家族における隔たりをことさらに強調するのではなく、ある種の前提や柔らかな諦めとして受け入れている、そんな印象がラヒリの文章にはある。 この距離感と感覚が、いまの僕にとっては心地よい。 インドからの移民第一世代である両親とアメリカ流の価値観の違いから軋轢が生じた子供時代は既に回想となり、少女は大人になって自らも子を持つ年齢となる。 老境に差し掛かる親は、もはや幼少時の愛情や思春期の反発といった記憶だけで語れる対象ではない。 そんな女性が暮らす家を、遠方から父が訪ねてくる。共に過ごした一週間の中で交わされる互いへの愛情と静かなすれ違いを、ラヒリは表題作である『見知らぬ場所』で細やかに描きだす。 父と娘が章ごとに入れ替わり、交互に語り手となるスタイルから見えてくるのは、ひとつ屋根の下で同じ経験を共有していても、まつわる記憶や想いは重なりあわず、微かにずれていくことだ。 ちょっとした手術を受けるはずが、麻酔の事故であっけなく妻が亡くなってしまったときに、父は娘をしっかりと支えるためにも泣くことはできないと思う。娘は涙さえ流さぬ父に、母を本当に愛していたのだろうかと、折に触れて思い続ける。 昔気質で心の内を家族に上手く伝えてこれなかった父親と、出来がよい弟に引け目を感じて両親に対して屈折を感じながら育った娘、亡くなってから存在感いや増す母親といった人物造形が素晴らしく巧みなので、父娘が抱く感情や物語のプロットは、水が自ら行方を選ぶかの如く自然と流れていく。 だからなのだろう。ラストで父娘の今が交差する瞬間も、そしてそれを静かに受け入れて離れていく心模様もまた、物語のために用意したエンディングというよりも人生の中で起こるべくして起きた出来事のように思える。 親と子、妻と夫、姉と弟、そして恋人たちの想いがうまく重ならないこと。それでも残る想いがあること。 心に残る美しい小説だ。
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「停電の夜に」「その名にちなんで」に続いて3冊目。相変わらず素晴らしい筆致。 大切に思っていてもすれ違う家族の心情を娘、息子、父、母、きょうだいそれぞれの目線で丁寧に描かれていてとても心に刺さる。男女の愛情、確執もなんだか身につまされる。どの話もほろ苦く切ないが「よいところだけ」...
「停電の夜に」「その名にちなんで」に続いて3冊目。相変わらず素晴らしい筆致。 大切に思っていてもすれ違う家族の心情を娘、息子、父、母、きょうだいそれぞれの目線で丁寧に描かれていてとても心に刺さる。男女の愛情、確執もなんだか身につまされる。どの話もほろ苦く切ないが「よいところだけ」はタイトルにつられるだけにひときわ胸に迫る。第二部の連作もこれまたほろ苦く愛おしい。 ラヒリの小説を読んでいると自分自身の様々な時期の様々な感情が蘇ってくる。しかも辛かった時期のことも何故か懐かしく思えるから不思議だ。小説のフィルターを通して多少なりとも客観的に見れるからだろうか。
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またもやジュンパ・ラヒリに脱帽。 短編でも長編でもなく中編という長さも、一作一作が家族や恋人との関係で最後に皆思いがけない展開にななることも。圧巻はヘーマとカウシクの3部作。どの話も淡々とした筆致で驚くようなことが書かれていて魅力的過ぎる。
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