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ゆびぬき小路の秘密
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ゆびぬき小路の秘密
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商品レビュー
4.6
6件のお客様レビュー
「灰色の五つ穴は、五個でひと組。仕立て屋ウェブスタ-に、代々伝わってきたボタンだよ。」仕立て屋のおばあさんはそう言った。 汝これを五星形につけ、我を訪れよ されば我、五度路をゆずり、 汝を我がもとへ呼びよせん 汝再びそろえ、我を訪れよ されば我、あまねく道をゆずり、 汝の前によ...
「灰色の五つ穴は、五個でひと組。仕立て屋ウェブスタ-に、代々伝わってきたボタンだよ。」仕立て屋のおばあさんはそう言った。 汝これを五星形につけ、我を訪れよ されば我、五度路をゆずり、 汝を我がもとへ呼びよせん 汝再びそろえ、我を訪れよ されば我、あまねく道をゆずり、 汝の前によみがえらん 我、ここより永遠に旅立つ 荒れたる丘より谷に降り、緑の森に憩うまで
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
全然知らない作家、知らない作品でしたが、とても面白くて、すごく得した気分です。 日本人作家の作品ですが、読んでいるとスーッとイギリスの児童文学の世界に入っていきます。 私は小さい頃から日本の児童文学より、海外のものの方が好きでした。 なぜかとつらつら考えるに、日本の作品に出てくる子どもって教科書的ないい子なんですよ。 私自身教科書的ないい子だったので、それってとてもつまらないと思っていました。 それに比べて外国の作品に出てくる子どもって、もちろんいい子もたくさんいますが、親と喧嘩したり、家出をしたり、大人と駆け引きをしたりと、なんともステキにたくましいではありませんか。 そしてこの作品も、引っ越してきたばかりの街で、不思議なことに出合うバートラムが主人公。 古着屋や古道具屋のあるゆびぬき小路の奥にある、偏屈な仕立屋のおばあさんと知りあったことから謎が始まります。 仕立屋はなぜ、ひとつだけ違うボタンをつけるのか。 ボタンはバートラムに何をさせたいのか。 残りページがあとわずかになっても、作者がどう決着をつけたいのかがわかりませんでした。 だからずっとドキドキ。 正直言って、結末は地味です。 大きく何かが変わるということはありません。 ”着心地ってものは、仕立てにゆとりがなけりゃだめなんだ。(中略)そして仕事というのは、自分にとっていちばん大切なものを使うことなんだとね。(中略)仕立てに使うわたしの時間と、仕立屋として生きてきた、すべての時間のことさ。大切なものほど、手放さなければならないんだよ、バートラム。” 機械化が進む世の中で、自分の技術で生きてきた仕立屋としての自負がバートラムに語られ、バートラムはそれに対して「仕立屋の時代はまだ終わっていないよ」と言います。 そういうことを理解できたとき、バートラムは一歩大人になったのだと思いました。 これからもゆびぬき小路は存在し、バートラムが訪れることもあるでしょう。 でもきっと、バートラムは学校の友だちを増やし、少しずつゆびぬき小路から離れていくのでは?とも思うのでした。
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「1966年、イングランド。親の都合で友だちのいない町に引っ越してきてクサクサしている少年バートラムは、「ゆびぬき小路」の仕立屋のおばあさんが縫いつけたふしぎなボタンを手に入れたことから、時間をさかのぼれるようになる。大量生産の時代に、一仕立屋であることに誇りをもっていたおばあさ...
「1966年、イングランド。親の都合で友だちのいない町に引っ越してきてクサクサしている少年バートラムは、「ゆびぬき小路」の仕立屋のおばあさんが縫いつけたふしぎなボタンを手に入れたことから、時間をさかのぼれるようになる。大量生産の時代に、一仕立屋であることに誇りをもっていたおばあさんは、先祖伝来の五つのボタンを、これはと思った五着の服だけに縫いつけていたのだった。ボタンのむすびつける人と人との時間が、見事なタペストリーのようにつづれ織りにされていくタイム・ファンタジー。野間児童文芸新人賞受賞作。」
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