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芽むしり仔撃ち
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芽むしり仔撃ち
¥330
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商品レビュー
3.7
74件のお客様レビュー
戦争末期のある閉鎖さ…
戦争末期のある閉鎖された農村における、疎開した10代の少年院の子供たちの、農村の大人たちに対する抵抗を描く。少年たちは自由社会を築こうともくろみ一時的に成功するが、その夢ももろくも崩れさる。
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大江の初期の文章をさ…
大江の初期の文章をさして、思想を表現する文体とはよく言ったものだ。ものすごくひっかかる言い回しが多くて、なんという文章だろうと思った。その文体で描かれる世界は濃厚で、人間の連帯するときの卑怯さみたいなを執拗に描く。読後感爽快とはいかないが、本当のことを読んだという充実感がある。
文庫OFF
ー 土間の焚火は殆ど消えかかろうとし、谷を囲む森の獣の吠え声、鳥の不意の羽ばたき、そして樹皮の寒さにひびわれる音が響いた。僕は眠るために苦しい努力をしながら、腹立たしく絶望的に重苦しい死のイメージに圧倒されていたので、安らかに天使的な弟の寝息が聞えはじめると嫉妬のあまりに弟への優...
ー 土間の焚火は殆ど消えかかろうとし、谷を囲む森の獣の吠え声、鳥の不意の羽ばたき、そして樹皮の寒さにひびわれる音が響いた。僕は眠るために苦しい努力をしながら、腹立たしく絶望的に重苦しい死のイメージに圧倒されていたので、安らかに天使的な弟の寝息が聞えはじめると嫉妬のあまりに弟への優しい感情をすっかり無くしてしまうほどだった。村の内側では見棄てられた者らと埋葬されない死者があるいは眠り、あるいは不眠に苦しみ、村の外側では、悪意にみちた数しれない者らが、これは一様にぐっすり眠っていた。 ー 何となく大江健三郎が読みたい今日この頃。 初期の作品は面白いよね。味わい深い。 反抗的精神というか、客観的にはちっぽけな自由意志の問題とか、服従すべきか自分の価値観を守るべきか、そんな意固地な少年の葛藤が今となっては新鮮。
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