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闇の奥
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闇の奥
¥440
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商品レビュー
3.8
35件のお客様レビュー
象牙を採りまくられた象たち。テムズ川から出航しアフリカ大陸の闇の奥には、クルツがいたが、このもと音楽青年のクルツは、その暑さや湿気、病気などにやられて、その恐怖ゆえに人格をかえ、その土地の王様のようになっていた。しかし故郷では恋人がそうとも知らずに信じて待っていた。マーロウはそれ...
象牙を採りまくられた象たち。テムズ川から出航しアフリカ大陸の闇の奥には、クルツがいたが、このもと音楽青年のクルツは、その暑さや湿気、病気などにやられて、その恐怖ゆえに人格をかえ、その土地の王様のようになっていた。しかし故郷では恋人がそうとも知らずに信じて待っていた。マーロウはそれをつたえきれずに、ただテムズ川でそのことを語る。舟が行く中で、美しいもやや霧がもう一つのロンドンを空想させる。
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難しかった。クルツは声や言葉が優れている描写だったので神を象徴しているのかと思いつつも、やってることが残忍だったり象牙の亡者だったりするのでやっぱり違うか、と思ったり。マーロウが語る形式で、頭に入って来づらかった。
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「地獄の黙示録」の元ネタとして有名な(?)コンラッドの「闇の奥」。 いろいろなところで言及されたり、分析されたりすることも多いので、なんとなく知っている気になるが、ここは一応読んでおこうということで。 なんで、そんな気になったかというと、ここ数年、全体主義について調べていると...
「地獄の黙示録」の元ネタとして有名な(?)コンラッドの「闇の奥」。 いろいろなところで言及されたり、分析されたりすることも多いので、なんとなく知っている気になるが、ここは一応読んでおこうということで。 なんで、そんな気になったかというと、ここ数年、全体主義について調べているところなのだが、アーレントの「全体主義の起源」の第二部の「帝国主義」のなかで、「闇の奥」についての分析があったからかな? という流れなので、読む視点がどうしてもアーレントの読解に引っ張られるわけだが、それにしても、これはなんだかディープな本だった。 設定としては、マーロウという船乗りが、船が停泊しているなかで、仲間に自分の体験を物語るという体裁をとっているのだが、読んでいて、誰が誰だか、わからなくなってしまう複雑さがある。 訳文も1958年のもので、原文をしっかり訳そうとしているのか、かなり読みにくい感じ。なかなか、話の筋がわかりにくい。(もう少し、新しい訳を読めばよかった) この難しさはたんに訳文のせいだけではないはずで、まさに「暗黒大陸」アフリカの奥にむかって、川を遡行していくにあたって、なにがなんだかわからないことがどんどん起きて、悪夢のなかに迷い込んでいくような物語そのものの構造からやってくるのであろう。 なんだかよくわらないにもかかわらず、かなり衝撃的な本だった。(読みにくかったのには、最近、わたしが小説をほとんど読まないということも関係しているかもしれない) アフリカの奥地、闇の奥(Heart of Darkness)に入ることによって、理性と非理性の対立、文明と原始との対立が浮かび上がるとともに、人間の心の闇(Heart of Darkness)に分けいっていくことが主題なんですね。 と言っても、これは19世紀のヨーロッパ人の社会的な構築の文明観なんだけど。 アーレントは、「帝国主義」のなかで、ヨーロッパの植民地経営のなかで、人種主義的な暴力が蔓延していったことが、人の命を軽くみてしまう感性を生み出したこと、そして、ヨーロッパで余計ものになったいかがわしい人々が植民地に行って、傍若無人な行為をおこなっていたことが「全体主義」を生み出す一つの要因になったとしているが、まさにそのあたりの分析を裏付ける本だな〜。 「裏付ける」と言っても、これは小説であって、歴史家には、アーレントの論立ては、まったく許し難い論理であろうけど、アーレントは客観的な事実というより、主観的、心理的な経験というところから、全体主義的な暴力の一面を描こうとしていたんだなとあらためて納得した。 もうちょっと新しい翻訳で、再チャレンジしてみたい。
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