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昨日 ハヤカワepi文庫

アゴタクリストフ【著】, 堀茂樹【訳】

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 早川書房/早川書房
発売年月日 2006/05/15
JAN 9784151200359

昨日

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商品レビュー

3.7

37件のお客様レビュー

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2023/09/24

暗く冷たい厚い雲に常に覆われているような毎日と絶望することさえない諦観したような主人公の、現実の「私」と「私」が書いたと思しき幻想が交互に語られていくTHE虚無感な世界。でも不思議と重くはないし悲しくもない。でもなぜか印象は強く残って惹き込まれる。 出だしのエピグラム的な言葉が美...

暗く冷たい厚い雲に常に覆われているような毎日と絶望することさえない諦観したような主人公の、現実の「私」と「私」が書いたと思しき幻想が交互に語られていくTHE虚無感な世界。でも不思議と重くはないし悲しくもない。でもなぜか印象は強く残って惹き込まれる。 出だしのエピグラム的な言葉が美しい。

Posted by ブクログ

2022/08/08

続けて、Audibleで聞き続けていたけど、寝かしつけのときに疲れ果ててるときだったのでなんとなくココロの中には落ち着かず。 またまたこちらもくらい感じで書かれているけど、前三部作とは違って勢いはあんまりなかったなぁ。 再読したい、またあと5年後くらいに。

Posted by ブクログ

2022/05/05

引き続き、アゴタ・クリストフの第四作『昨日』を聴き始める。 貧しい娼婦の母親と、母のもとに通う自己中の小学校教師のあいだに生まれた私生児トビアスは、自らの手で両親を刺し殺し、戦争のどさくさに紛れて国境を越え、姓名を偽って新たな人生を歩み始めるが、どこに待っていたのは、先の見えな...

引き続き、アゴタ・クリストフの第四作『昨日』を聴き始める。 貧しい娼婦の母親と、母のもとに通う自己中の小学校教師のあいだに生まれた私生児トビアスは、自らの手で両親を刺し殺し、戦争のどさくさに紛れて国境を越え、姓名を偽って新たな人生を歩み始めるが、どこに待っていたのは、先の見えない灰色の人生だった。 目の前の現実を直視できずに夢の中に逃げ込む姿は、リュカを、クラウスを、そして自分の世話をするために戻ってきたクラウスを受け入れず、そこにいないリュカにすべてを託す双子の母親を思わせる。過酷すぎる現実を前にしたとき、それを拒み、過去や自分が生み出した妄想にしがみつくことでかろうじて精神のバランスを保ってる人に対して、「現実を見よ」「いまをおろそかにするな」というだけでは、おそらくなんの助けにもならない。だけど、いつかはそれを受け入れないと、本人も前を向けない。 現時点ではトビアスがこの先どうなるかは予測できないが、少なくとも著者のアゴタ・クリストフにとっては、書くことが癒しになっていたはずだと思いたい。そうでなければ、救われない。 オーディブルはアゴタ・クリストフ『昨日』の続き。 異国の地で工場労働者として希望のない日々を過ごしてきたトビアス(サンドールと名乗る)の心の支えだったリーヌは、自分が殺した(と信じていた)父親サンドールの娘カロリーヌその人だった。夫の研究に付き添って彼の地にやってきたリーヌと再会したトビアスは、異母妹だと知りながら恋心を燃やしてしまう。 腹違いの兄妹の禁断の恋は「第三の嘘」でも語られたテーマで、過酷な子ども時代を送った著者にとって兄の存在がいかに大きかったかを思わせるが、それは倫理的にも社会規範的にも生物学的にも越えてはいけない一線で、だからこそ、その実らぬ恋はトビアスをさらに駆り立てる。双子のぼくらなら間違いなく何かが起きる前兆なのだけど、トビアスの場合はどうか。それともCのほうのクラウスが最終的にサラを遠ざけたように、トビアスにも理性的な判断力が残されているのか。 オーディブルはアゴタ・クリストフ『昨日』が早くも今日でおしまい。 トビアスとリーヌはやはり一線を越えられなかった。正義の鉄鎚を下す高揚感に包まれたトビアスは、しかし、実の父親の殺害にもリーヌを苦しめる夫の殺害にも失敗したのであって、西魏の味方にも悪人にもなりきれない残念で中途半端な男として、その先の人生を送ることになる。 だが、よく考えてみると、あれだけの物語を紡いだリュカとクラウスだって、現実(と私たちが思わされてる)世界では、実に冴えない人生を送っていたにすぎない。そうした冷めた諦観があるからこそ、空想の世界では波瀾万丈な生き方を切望してやまなかったともいえる。 実現するあてのない願望にすがって生きることを諦め、目の前の現実を受け入れて生きることを決めた瞬間から、トビアスはようやく、帰りたい祖国を持たない流浪の民であることをやめ、地に足のついた生活を始めることができた。その相手が、空想の中の想い人であるリーヌではなく、ヨランダだったのは必然だろう。

Posted by ブクログ

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