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逃避行
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逃避行
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商品レビュー
3.6
20件のお客様レビュー
隣の子どもを噛み殺してしまったレトリバーと主婦が家族を捨てて逃げるお話。 追いつめられて行く感じでどんどん読み進めてしまう篠田さんの安定の文章力。 いつもながら、色んな物事の裏と表を考えさせられるストーリーとなっています。 私は動物は大好きだけれど、ストーリーとは関係なく、この先...
隣の子どもを噛み殺してしまったレトリバーと主婦が家族を捨てて逃げるお話。 追いつめられて行く感じでどんどん読み進めてしまう篠田さんの安定の文章力。 いつもながら、色んな物事の裏と表を考えさせられるストーリーとなっています。 私は動物は大好きだけれど、ストーリーとは関係なく、この先ペットを飼うという事はもうしないと思います。
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こんな本のタイトルだと、若い恋人たちが二人だけの世界へ逃げていくように思うのだが、この作品は、恋人ならぬ、一匹の犬と中年主婦が世間から逃げだす話だった。 隣の家の子供にいたずらされて、その子に跳びかかり、殺してしまったゴールデンレトリバーの「ポポ」。事件の原因は子供がいたずらを...
こんな本のタイトルだと、若い恋人たちが二人だけの世界へ逃げていくように思うのだが、この作品は、恋人ならぬ、一匹の犬と中年主婦が世間から逃げだす話だった。 隣の家の子供にいたずらされて、その子に跳びかかり、殺してしまったゴールデンレトリバーの「ポポ」。事件の原因は子供がいたずらをしてきたことにあるのだが、その子は死んでしまっている。当然のことながら、世間の目は「子殺しの犬」には冷たくなる。保健所へ渡すか、犬を処罰するか。 ポポを我が子のようにかわいがる主婦妙子は、どうしてもポポを手離せなかった。 子供たちも成長し、心が通わなくなっていた家族と話し合ってもらちがあかない。妙子の寂しさを癒してくれるポポとどうして別れることができるだだろうか。一大決心をした妙子は、真夜中に犬を連れて夫名義の預金通帳と印鑑を持ち家出をする。季節は11月の終わり。夜は冷え込んでくる。犬連れでは電車にも乗れず、寒さに震えながら走っていると、運よく荷物を運送するトラックに乗せてもらえた。テレビなどでもニュースは放映されていたため、おたずね者の「犬」はすぐにわかるが、それでも心あるドライバーたちのおかげで、妙子とポポは、東京と神奈川の県境から兵庫まで行くことができた。 しつこいマスコミの追跡や田舎の人々の興味津津の眼にさらされながらも、一人と一匹は、誰も来たがらない関西の山奥の家を借りることができた。自給自足をしながら、ひっそりと暮らし始めたのだが・・・。 ペットロスという言葉もあるが、この作品にはペットについての問題点が多く書かれていた。 ペットショップで売れ残る成長した子犬たち。大型犬の扱いになれずにいたすらをしかける悪がき。 ペットとして扱われる犬たちの背景には、自分に都合のいいように犬の一生を支配しようとする人間の姿が見え隠れする。 命がけで飼い犬を守ろうとした妙子は、世間一般の目からみれば、「なんという飼い主だ。飼い主が悪い」ということになるのだろう。 人間中心の社会では、犬の忠義心も道徳心も通らない。 ペット問題も難しいなと思った。
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- ネタバレ
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ペット全盛時代に人ごとではなさそうな話です。やや現実離れしているかも知れませんが、身につまされる思いで読みました。隣の子供を殺してしまった大型ペット犬ゴールデンレトリバー・ポポを連れて、ヒッチハイクで八王子から関西へ逃げた50歳の主婦妙子。夫・長女・次女がポポを見捨てようとしたことに対し、ポポに家族の温もりを一番感じる主人公。八王子からの逃避行で出会う人たちがトラック運転手の島崎、そして娘と同年代の運転手ダイ、篠山の別荘で出会う中年の生涯孤独を主張する堤たちとの心の通い合いが暖かさを与え、この小説を救いのあるものにしてくれます。ポポと妙子が都会の普通の生活では経験できない生活を通して、次第に逞しく?変身していく姿に、現代文明への批判も感じました。しかし、ペットと共に逃避というのはやはり一寸無理があるかも知れません。ラスト近くの堤とポポの心の通い合いは美しいです。
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