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赤線跡を歩く
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赤線跡を歩く
¥330
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商品レビュー
3.8
7件のお客様レビュー
コンセプトが素晴らし…
コンセプトが素晴らしい。タイトルを見ただけで購入した本だが、写真を撮る視点と淡々とした文章も良い。
文庫OFF
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※このレビューにはネタバレを含みます
[ 内容 ] 公娼制度の廃止に伴い、戦後間もない昭和21年頃から形成された赤線地帯。 そこでは鮮やかなタイルと色ガラス、入口にホールのある独特の様式が生まれ、カフェー調の店が全国の盛り場で流行した。 昭和33年の廃止後、アパートや旅館、町工場などに姿を変えて余生を送ってきたそれらの建物も、半世紀が経過し風化が進む。 戦後の都市空間を彩った建築物とわずかに残る街並みを記録した貴重な写真集。 [ 目次 ] 東京(吉原;洲崎;千住 ほか) 関東(松戸;船橋;川崎 ほか) 関西(飛田;中書島;橋本 ほか) [ 問題提起 ] [ 結論 ] [ コメント ] [ 読了した日 ]
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かつて都市部に多くあった娼街は、一部を除いて普通の街に変わっている。住宅地になったり商店街になったりして、一見往時の面影を残すものはない。売春防止法から50年を経て世代交代も進み、住人でさえもそこが娼街であったことを知らないこともある。 しかし、よくよく街並みを眺めて見れば、そこ...
かつて都市部に多くあった娼街は、一部を除いて普通の街に変わっている。住宅地になったり商店街になったりして、一見往時の面影を残すものはない。売春防止法から50年を経て世代交代も進み、住人でさえもそこが娼街であったことを知らないこともある。 しかし、よくよく街並みを眺めて見れば、そこかしこにかつての色街の痕跡を見つけることができる。とくに当時から取り壊されず使われている建物には、カフェー建築と呼ばれる娼館独特の和洋折衷な建築様式を今に伝えるものも多い。東京であれば、比較的変化や流動性の少ない隅田川以東の地域で見ることができる。今となってはレトロ以外に何物でもなくかえってそれが新鮮なのだが、当時としては最先端のモダンだったのだろう。 そうした往時を偲ぶ遺構を、全国の娼街から集めた写真集がこれ。ノスタルジーに浸ることもできるし、大正・昭和の文化に想いを馳せることもできる。あるいは、純粋に建築資料としても、ブラタモリ的な町歩きガイドとしても使える。もちろん娼街をとりまくさまざまな社会問題の入口としてもいい。 娼街の遺構は行政によって保護されることはおそらくないし、かつて娼街だった痕跡を消してしまいたいという力もはたらく。建物もとっくに耐用年数を超えていて、取り壊され消えていくのは時間の問題。本書の出版から15年が経過した今、ここに収録されている遺構のどれだけが残されているか。あと10年、20年も経てば、限りなくゼロに近くなるんじゃないか。その意味でも消えゆく光景を収めた本書は資料的価値が高い。
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