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“戦前"の思考
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“戦前"の思考
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商品レビュー
3.8
8件のお客様レビュー
本書はソ連が崩壊して間もないころに刊行された本で、今の時点でこの本を読むと、著者の洞察力に驚愕する。米ソ冷戦が終わり、『歴史の終焉』の著者フランシス・フクヤマは、アメリカの自由主義、民主主義が勝利したことで、平和が訪れると楽観的な見方をした。ところが著者はこの意見に反論する。冷...
本書はソ連が崩壊して間もないころに刊行された本で、今の時点でこの本を読むと、著者の洞察力に驚愕する。米ソ冷戦が終わり、『歴史の終焉』の著者フランシス・フクヤマは、アメリカの自由主義、民主主義が勝利したことで、平和が訪れると楽観的な見方をした。ところが著者はこの意見に反論する。冷戦は終わりを告げたが、今後は中東で戦争が勃発すると予想した。実際、21世紀に入り、アメリカ同時多発テロ事件やイラク戦争でなど、中東の勢力が今なお懸念されている。以上から、冷戦はたしかに終結したが、その代わりに新たな場所で戦争が起きた。それは別の言葉で表すとするならば、新しい戦前が始まったともいえる。 また本書で収録されている「議会制の問題」と「自由・平等・友愛」は、日本の政治体制を振り返るうえで参考になる。現在、日本では議会制民主主義を採用しているが、著者はこの体制が本質的に危うい基盤で成立していること、また今後の日本でこれまでとは違う形でファシズム体制が誕生する可能性を指摘する。戦前の日本と異なり、民主主義体制のもとでファシズムが実現し、それに対抗できるのは社会民主主義者ではなく、頑固な自由主義者だけだという。
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「日本近代文学の起源」よりも詳しく言文一致のことが書いてある。日本には、習合状態、あるいは双系的なものを一元化しないような装置がある。これは外部からの強制に対して抵抗するという素地がないとも言える。筆者が注目するのが漢字仮名交用という装置である。いくら外部から概念が入ってきても、てにをはで繋げるだけで、ガイネンガ内面化されない。したがって、言文一致運動は西洋の概念を漢文に換えたが、内面化はされなかった。 ただし、例外が一つあって、それは戦後の日本国憲法だと言っている。 扱うテーマは広いが、自由と平等の矛盾についても。自由と平等の矛盾が露呈するとき、それを友愛が想像的に揚棄する。ファシズムも共産主義も、創造的なもの・美学である。では、未来の進歩が期待できなくなる時代に、何がとられるか?共産主義はもはや支持を得られない。 したがって、ファシズムが出てくる。
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[ 内容 ] 「共産主義が終わった」「五五年体制が終わった」―。 二〇世紀最後の十年は「終わり」が強調された時代だった。 そして、それは戦前の風景に酷似している。 あの戦前を反復しないためにこそ、自身を“戦前”において思索することの必要性を説く著者が、明晰な論理展開で繰り広げる思...
[ 内容 ] 「共産主義が終わった」「五五年体制が終わった」―。 二〇世紀最後の十年は「終わり」が強調された時代だった。 そして、それは戦前の風景に酷似している。 あの戦前を反復しないためにこそ、自身を“戦前”において思索することの必要性を説く著者が、明晰な論理展開で繰り広げる思考実験。 ネーション=ステートを超克する「希望の原理」とは何か。 [ 目次 ] 帝国とネーション 議会制の問題 自由・平等・友愛 近代の超克 文字論 双系制をめぐって 自主的憲法について 韓国と日本の文学 湾岸戦時下の文学者 [ 問題提起 ] [ 結論 ] [ コメント ] [ 読了した日 ]
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