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重箱のすみ

金井美恵子(著者)

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 講談社/
発売年月日 1998/03/30
JAN 9784062090841

重箱のすみ

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商品レビュー

4.3

3件のお客様レビュー

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2022/06/29

〈様々な内容の文章を、幾つかの箱に分類して、一つ一つの箱の中に文章を並べ(というか、レイアウトして)、その箱を重ねて、一冊の厚みのある本に仕上げる〉…〈物としての本の装丁という外側にまで、自分の書いた文章を反映させたい〉と言う著者の言葉を、読者は実感し得る幸福として、本を所有する...

〈様々な内容の文章を、幾つかの箱に分類して、一つ一つの箱の中に文章を並べ(というか、レイアウトして)、その箱を重ねて、一冊の厚みのある本に仕上げる〉…〈物としての本の装丁という外側にまで、自分の書いた文章を反映させたい〉と言う著者の言葉を、読者は実感し得る幸福として、本を所有する手の喜びとして、或いは本を見る眼の楽しさとして、勿論知っている。そのブック・デザインとタイトルの広がりをも当然含み、楽しい一冊。 〈あの、めちゃくちゃに甘美な楽しさと疲労と困惑とためらいと絶望と胸のむかつきと息苦しさ、貧しい豊かさと豊かな貧しさが混りあう水の中から浮びあがり、それなのにひどくのどがかわいていて、かわきをいやすためには、もっともっと言葉が必要なのだという全身的な渇望の疲労困憊のはてに、愛する小説と愛する映画を飲みつくしたいと欲望しながら読んだり見たりする渇きを含めた、書くことの快楽と疲労〉を読むことでよみがえらせ得る批評のなさや、〈父の娘〉として読むのではない幸田文と森茉莉の文章であるとか、〈天性の無垢〉や〈天衣無縫〉などと言った言葉のみでは決して語り得ぬ武田百合子の文章の魅力、或いは金井美恵子のエッセイを読む楽しさそのものであるかのような、金井美恵子を読む事は即ち体験する事であるのだと言う事を鮮やかに証明していると言うか、本当に、楽しい体験そのもので、日々の暮しの細部とでも言うべきささやかな移動の時間を読む事でまさしく体験させ得る、豊かさと繊細さに満ちた「旅情の挫折」など、またスーパーマーケットに行く=既視感との闘いである事をうんざりと思い出したり、〈大名のお姫様の雛道具〉〈本物とそっくりに作られた小さな物に対する愛着〉と〈そうした物を目にした時の驚きに充ちてはいるのだけれど、極く単純な目の喜びと感動〉について考えたり、大岡昇平が〈歴史の連続としての絶えざる現在を、読みつづけることと書きつづけることで生きて、それが読者にとってずっと刺激的な存在だった〉事を感嘆と共に語ったり…魅惑された存在として、欲望し続ける存在として、或いは苛立ち、憤り、見逃さぬ存在として、〈ほとんどの人がかえりみない、重箱の隅に溜った埃や汚れを、楊枝でつつきながら〉、金井美恵子は書き続ける。華麗に、細やかに、金井美恵子は書き続ける。それを読む楽しさと言ったら…。 「軽いめまいと日常生活」が、自分の事であり過ぎて、そこに書かれている〈ある種の女の人たち〉が、自分の事であり過ぎて、その事に対して、何故だかはわからないのだけれども、めちゃめちゃに感動してしまい、泣いてしまう。それはまさに自分が今生きていることそのものであるかのような文章なのだ。自分の今、今生きている自分そのものであるかのような文章を読んで、それを生きるようにして読んで、平素自分もまたそうして生きている事を思い知って、よくわからないぐらい、感動してしまう。まさに自分であるのだとしか言いようがない。それは私なのだ。〈ようするに、夏実は私なのだ。〉こう確信してしまった以上、生きている限り、自分は金井美恵子を読み続けるほかないではないか、と思う。

Posted by ブクログ

2011/07/15

素晴らしい。 「まるごと金井美恵子です」と帯にありますが、たしかにそのとおり。 エッセイ106篇。 19993〜97年のものだから、もちろん「古い」と言ってもいいんだけど。 でも、古臭いはずがない。

Posted by ブクログ

2004/12/29

いろんなメディアに書かれたエッセイや批評を集めたもの。題名にある、重箱のすみっこをほじくるようなみみっちいことをする必要はありません。豪華七段重ねの特注のお重をいただいて、さてどこからいただこうかと嬉しく迷うような。考えてみればあたしはこの人によって「読むことの快楽」を吹き込まれ...

いろんなメディアに書かれたエッセイや批評を集めたもの。題名にある、重箱のすみっこをほじくるようなみみっちいことをする必要はありません。豪華七段重ねの特注のお重をいただいて、さてどこからいただこうかと嬉しく迷うような。考えてみればあたしはこの人によって「読むことの快楽」を吹き込まれ続けている、そんな気がする。この人の小説の、ちょっとしつこいよじれたような文体や精緻な情景描写を辿っていく心地よさだけでなく、エッセイや批評で、繰り返し繰り返し語られる、読むこと/視ることへの快楽をかきたてる小説や映画、それらへの期待と愛情、それらを損なうものへの辛辣なまなざしが、常にあたしを誘ってやまないのだ。

Posted by ブクログ

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