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深い川 ラテンアメリカ文学選集8

ホセ・マリアアルゲダス【著】, 杉山晃【訳】

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 現代企画室/
発売年月日 1993/12/15
JAN 9784773893106

深い川

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2013/02/27

クスコの石壁の描写[p10]が魅力的だったので手にとった。また、解説によれば、作者ホセ・マリア・アルゲダスは57歳のときにこめかみをピストルで撃ち、4日間苦しんで死んだ。そのことにも興味を持った。物語全体が、彼の幼少期の体験と深く結びついている。ペルー南部の都市アバンカイが舞台。...

クスコの石壁の描写[p10]が魅力的だったので手にとった。また、解説によれば、作者ホセ・マリア・アルゲダスは57歳のときにこめかみをピストルで撃ち、4日間苦しんで死んだ。そのことにも興味を持った。物語全体が、彼の幼少期の体験と深く結びついている。ペルー南部の都市アバンカイが舞台。 アバンカイにたどり着くまでに主人公エルネストは、弁護士である父親と各地を転々とした。節々でみられるように、彼の繊細な感受性が豊かに育くまれたであろう。だが、それも狂う寸前の危うさがある。例えば、物語の終わりでチフスが流行って「白痴の少女はどうなっているだろう」と彼女のもとに行き、傍で祈る[p346]。暴動にまぎれたり、チフスが入ってきているかもしれない街を歩いたりする。友人には「うつ病」[p124]「センチメンタルなやつ」[p126]「人とあまり付き合わない」[p166]などと評価されている。しかし、当時のインディオや黒人などに対する偏見が強い中で、自分は「インディオに育てられた」[p382]というような認識を持っている。これは作者の体験に根ざすだろう。そして、そういった偏見に満ち、子供を信用しない(「白痴の少女と寝たのか」と校長に詰問される場面など[p358])大人たちへの違和感(「神父様も変わってるよ」[p187]など)が通底している。 また、主人公の名前がわかるのは、父親と別れ、アバンカイの寄宿舎に入り「スンバイユ」をきっかけに周りにとけこみはじめ、友人からその名前を呼ばれるときである。彼が暴動に参加したり、チチャ酒場に出入りしたりすることでその描写ができるわけだが(「ぼくは」と一人称の記述で貫かれている)、完全にエルネストの目線に限定されないフットワークがある。書いている作者がこの少年と同じ年齢ではないから、その位置であり、作者自身も彼を観察しているのだろう。 尚、同じペルー生まれの訳者の解説も素晴らしい。

Posted by ブクログ

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