みたてのくみたて 見るだけでひらめくアイデアの本

ミニチュア写真家・見立て作家である田中達也さんのアイデア溢れる作品がギュッと詰まった一冊。 もちろん絵本でも知っていたが、「見立て」の作品を5000点以上も手掛けていることに驚いた。 [見立て]とは ①対象を他のものにたとえる、なぞらえること ②見て、いいものを選びきめること 毎日つくり続けてきて、どうしてアイデアが尽きないのか？ 発想の秘訣が書かれてある。 1章　形から発想する 2章　色から発想する 3章　暮らしから発想する 4章　スケールを変える 5章　動きから発想する 6章　擬人化する 7章　世界共通の出来事から発想する これ以外に分類できないアイデアと遭遇することもあるというが、次々と溢れてくる発想に感嘆する。 アイデアを引き出すための整理術も目当ての物を探し出せるように収納棚に整理されているという引き出しが凄い。

著者は、ミニチュア作家で写真家。作品制作の裏側やノウハウを紹介したもので大変面白かった。彼のユーモラスな見立ての世界は、単なる思いつきやアイデアで制作しているのではなく、独自の統一された考え方で表現されている。何をどう見立てるかの様々なアイデアを駆使して面白いものができる。ミニチュア製作のテクニックは紹介されていないが、作品のスケール感や構図等は結構緻密な作業をやっていることがよく判る。 タイトル1つにも、見る人を楽しませる工夫がある。この本から彼の見立てに対する情熱を感じた。一流にはなるには、まず制作への情熱が必要ということだろう。