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イギリス人の患者 創元文芸文庫

マイケル・オンダーチェ(著者), 土屋政雄(訳者)

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 東京創元社
発売年月日 2024/01/19
JAN 9784488805036

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イギリス人の患者

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2024/05/02

強いイメージをよびおこす美しい小説には違いないのだが、消化しきれなかったかも。詩的散文か。実はわたくしのように詩がわからない人のための詩なのかもしれないが なお、フォーサイスの漏らしたという感想は、わたくしとしてもそんなこと言っても仕方ないよなと思いつつも共感するところで、そう...

強いイメージをよびおこす美しい小説には違いないのだが、消化しきれなかったかも。詩的散文か。実はわたくしのように詩がわからない人のための詩なのかもしれないが なお、フォーサイスの漏らしたという感想は、わたくしとしてもそんなこと言っても仕方ないよなと思いつつも共感するところで、そうしたリアリズム二の次なところは引っかかるといえば引っかかる エジプトあたりが舞台であったり、エスピオナージュ風味であったり、多層的な語りであったり、アレクサンドリア四重奏を思い出す。あの本も読んだ直後は消化できなかったと思ったが、自分の中で長く余韻を引いている感じがある。この小説もそうなればうれしい ところで訳者あとがきにある「四人の物語が終わろうとする最後の最後に、作者オンダーチェ自身がひょいと顔をのぞかせたりもする」とは、どこを指しているのだろうか?十数年後のキップを作者に重ねているのかな?

Posted by ブクログ

2024/04/07

1992年のカナダ総督文学賞とブッカー賞受賞。2018年にブッカー賞50周年記念の歴代受賞作で最も優れた作品として、ゴールデン・マン・ブッカー賞受賞。『イングリッシュ・ペイシェント』の名で映画化され、アカデミー賞9部門受賞しています。 著者はスリランカ生まれのカナダ在住。カナダ...

1992年のカナダ総督文学賞とブッカー賞受賞。2018年にブッカー賞50周年記念の歴代受賞作で最も優れた作品として、ゴールデン・マン・ブッカー賞受賞。『イングリッシュ・ペイシェント』の名で映画化され、アカデミー賞9部門受賞しています。 著者はスリランカ生まれのカナダ在住。カナダ文学ですぐに思い浮かぶのは、モンゴメリやマーガレット・アトウッドくらいでしたが、こんな凄い作家がいたのですね。 長らく新潮文庫で絶版でしたが、創元文芸文庫で復刊。東京創元社も、白背表紙の文芸文庫シリーズを始めて間もないので、ラインナップ充実を図ってのことでしょう。手に入りやすくなったのは喜ばしい限りです。 さて、詩的な書き出しから始まる物語は、いきなり衝撃的な描写で、METALLICAの名曲”One”のPV『ジョニーは戦場に行った』のトラウマ映像が脳裏をよぎりましたが、目が見えるし会話もできるので、酷い状態ながらもとりあえず一安心。 時は第二次世界大戦のイタリア。全身火傷を負った正体不明のイギリス人と思われる人物が、連合軍の野戦病院に運び込まれます。かつての尼僧院だった屋敷は、ドイツ軍が撤退する時に破壊し尽くし、建物内にも爆発物が残る危険な状態。負傷者と看護婦を安全な場所に移す決定が下されたとき、看護している若いカナダ人女性は、周囲の反対を聞かずにその廃墟のような屋敷に留まります。 そこへ女性の少女時代を知る、女性の父親の友人のおじさんと、爆発物処理のインド人工兵の青年が加わり、屋敷での生活が始まります。4人は、少しずつ互いの過去を語ることにより、距離感が縮まり親密になっていきます。そして、次第に”イギリス人の患者”や登場人物たちの過去が明らかになっていき… 戦争という特殊な状況の中で、異国で育った男女のそれぞれの過去が、まるで厳選された詩の言葉を織り交ぜたような美しい文章で綴られていき、時に時代を前後し、時に人物が入れ替わり、少しずつ少しずつ語られて行きます。そうして、印象的な場面が次々と現れて、次第に物語が積み上げられて明らかになって行く様や、美しい心象風景の描写の数々にとても引き込まれました。 また、美しいだけでなく、時には、ヘロドトスの『歴史』を仲間の前で朗読する”イギリス人の患者”の過去に関係する女性の「ほのめかし」でドキドキしたり、おじさんの泥棒失敗談でクスりと笑ったり、”イギリス人の患者”の親友の後半でのエピソードでグッときて涙腺を刺激されたりもしました。あと、”イギリス人の患者”が、キプリング『キム』を朗読する看護婦への読書指導もいいですね。 残念なところは、終盤での早急過ぎる変化。例えるなら,夏目漱石『虞美人草』の登場人物の性格が急変してエンディングに向かって行くようなと言えば伝わるでしょうか?伏線は散りばめられているだけに、もう少し繋がりが丁寧だといいのにと思いました。 それと、性的な描写で少し引いてしまうような記述があるので、誰かにおすすめはしづらいのが難点かな。とは言え、個人的には他のブッカー賞受賞作、J.M.クッツェー『恥辱』『マイケル・K』やカズオ・イシグロ『日の名残り』を超えたかもしれない。やはり、ブッカー賞歴代1位は順当でしょうね。

Posted by ブクログ

2024/03/10

あー。すごい。すごい、これ。それ以外まず言葉が出ない。 ブッカー賞を受賞した中でも最も素晴らしい作品を選ぶという企画の中で選ばれた本作。ブッカー賞オブブッカー賞。 「イングリッシュ・ペーシェント」という題で映画化され、かつアカデミー賞も受賞したとのことだがその筋に疎い私はそんな...

あー。すごい。すごい、これ。それ以外まず言葉が出ない。 ブッカー賞を受賞した中でも最も素晴らしい作品を選ぶという企画の中で選ばれた本作。ブッカー賞オブブッカー賞。 「イングリッシュ・ペーシェント」という題で映画化され、かつアカデミー賞も受賞したとのことだがその筋に疎い私はそんなことも知らず。 この小説が最初ですべてだったわけだが、すごい。 私が海外文学が好きな理由の一つに「絶対に日本人には書けない物語を書ける」ということがあるのだが(もちろんその理由で日本の文学も好きだけれども)、この小説は日本人には絶対書けない。 第二次世界大戦が舞台で、かつ、ヒロシマナガサキの描写が物語のキーになってもいるのだが、それでもこれは日本人には書けない。 イタリアで、戦禍から取り残された病院。そこに残った、飛行機が墜落したことで大火傷を負い顔を失った「イギリス人の患者」。その患者の面倒を見るべく、病院に残った若い看護師のハナ。 物語はその二人の、とても静かな描写から始まる。 なんとなく居心地の良い静寂を楽しむ物語なのかと思い読み進めると、ハナの亡き父の親友でもと泥棒(かつスパイ)のカラバッジョと、不発弾を処理する兵士のキップが屋敷にやってきてから途端に様相が変わる。 今までの静寂から打って変わり、様々な人間の様々な愛が語られるようになる。 突然の展開に若干面食らいながらも読み進めるうちに、これも本作の特徴ではあるのだが、そして作者が詩人であるということも大いに関係しているのだろう、体言止めと曖昧な時制(過去のことを現在形で綴る)を多用しながら視点がぐるぐると変わる不思議な体験をさせられながら、イギリス人やキップの過去が明らかにされていく。 そしてそれらの過去が明らかになり、いろんなことがつながったとき。そして読者が「うーん、なかなか壮大な愛の物語だったなあ」と思った瞬間に、またそれをひっくり返す。詳細は語らないが、ここでヒロシマナガサキ。 えっ、となり、急転直下。 でもここからなぜか涙が止まらなくなる。最終盤。 本当に涙が止まらなくなる。戦争の悲惨さとか、そういうことも含めて涙が止まらなくなる。 そして物語が終わる。読み終わった後、どう捉えるかは人それぞれだと思うのだけれども、私は「やっぱり壮大な愛の物語」だったかな、と思う。 これは、本当に素晴らしい。 人生で何冊とない一冊。 こういう出会いがあるから、読書はやめられない。 本当に素晴らしい小説だった。ブラボー。

Posted by ブクログ

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