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寝煙草の危険

マリアーナ・エンリケス(著者), 宮﨑真紀(訳者)

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 国書刊行会
発売年月日 2023/05/22
JAN 9784336074652

寝煙草の危険

¥3,355

商品レビュー

4

6件のお客様レビュー

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2024/01/18
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

〈アルゼンチンのホラー・プリンセス〉による12編の悪夢。幽霊や魔女、呪いといったガジェットが登場するゴシック調ホラーに描かれるのは、現実のアルゼンチンが抱える過去の傷と病理。本書全体に漂う倦怠感と閉塞感、絶望、そしてグロテスクなまでに生々しい生への渇望。 ・小さな骨を庭から掘り出したことで赤子の幽霊に付き纏われる少女「ちっちゃな天使を掘り返す」。アンヘリータ(ちっちゃな天使)の望みとは一体何だったのか。 ・少女たちの憧れと嫉妬が残酷な結果を招く「涌水地の聖母」。この"少女たち"というワードもエンリケス作品の重要な要素なのかも。 ・住宅街に現れた酔いどれの老人はゴミを満載したショッピングカートを押していた「ショッピングカート」。呪い以上に怖いのは嫉妬……あるいはそれも呪いだったのか。 ・家族旅行からの帰宅後6歳の少女は"恐怖"を知った「井戸」。異様なまでの恐怖心を抱えた少女が辿り着いた悍ましい真相。結末は収録作で最も惨い。 ・5年ぶりにバルセロナを訪れた主人公が悪臭に付き纏われる「悲しみの大通り」。スペインも"陽光溢れる国"という顔だけではないということ。 ・ホテルの展望塔に棲む"彼女"「展望塔」。正調ゴシック怪談を45度ずらして描いたーといった趣き。 ・他人の心音に激しい興奮を覚える女性「どこにあるの、心臓」。フェティシズムの行き着く先。 ・異様な自死を遂げたロックスター。熱狂的ファンの少女2人が彼の歌に従った行為とは「肉」。凄惨な聖餐。 ・幻覚に苦しむ娘を撮影して欲しいとの依頼を受けた映像制作業の男が映したもの「誕生会でも洗礼式でもなく」。少女のいう"彼"とはエクソシスト的なものなのか、あるいは抑圧された精神によるヒステリーだったのか。 ※正直、この3編はどうも好みでないw ・行方不明の子供たちの情報を管理する部署に勤めるメチは、ファイル中の美しい14歳の少女に強い関心を覚える「戻ってくる子供たち」。収録作中最も長い(といっても70㌻弱)作品。アルゼンチンの抱える闇と不条理が色濃く描かれ、現実の恐怖と超自然的要素が相俟って恐怖度は作中随一。 ・自宅のベッドで煙草を吸い続ける女性のモノローグ「寝煙草の危険」。"倦み疲れる"という感覚が行間からじくじくと滲み出てくるような表題作は、超自然的要素はないが、本書で描かれた世界の肌触りと臭いを集約しているようにも―。 ・友人宅でウィジャボードに興じ、行方不明者を呼び出そうとした少女たち「わたしたちが死者と話していたとき」。いわゆる"こっくりさん"テーマなので馴染みはあるが、半世紀前の軍事政権下で起きた大量の行方不明事件という史実が織り込まれることで、単なる怪談に留まらない怖さを帯びている。

Posted by ブクログ

2023/10/09
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

マリアーナ・エンリケスのデビュー作。 国書刊行会のスパニッシュ・ホラーシリーズ第2弾。 幻想味が強いエルビラ・ナバロと違い、純粋ホラーな作風。人間の怖さというより、呪術やゾンビ、幽霊などの怖さを描いた作品が多い。 わかりやすくホラーな分、読みやすかった。そしてエゲツない表現は共通。ある意味リアルなのだろうか。。。 (本体が高いこともあり)高級チョコのような味わい方で楽しませてもらった。第3弾が待ちきれない。 ○ちっちゃな天使を掘り返す ちっちゃな天使の正体がエグい。そして描写もグロい。だけどユーモアあふれるゴーストストーリーなのが不思議。 ○湧水池の聖母 気に食わない先輩と狙っていた男子が付き合い始め、全然面白くない女子グループの話。全員肉食系。あと呪い方法がエグい。 ○ショッピングカート ★おすすめ 追い出した浮浪者が置いていったショッピングカートから呪いが湧き出て、その区画の住人に不幸が襲いかかる話。悲惨。サラッと悲惨。 最後は誰の?という疑問と、ママも同列になったのでは、と思わせる終わり方。 ○井戸 ★おすすめ 子供の頃、呪い師の家に行った時から、何をするのも不安と恐怖でいっぱいになった女の子の話。救いもなく酷い話。 ○悲しみの大通り 友人の家がある通りの匂いが耐えきれない。その昔は治安の悪い、モラルがない通りだったが、今はきれいになっている。だけど上部だけで、死んだ子供たちの霊が徘徊している。子供たちの霊がエグい。 ○展望塔 古いホテルが舞台。恋人に捨てられたが、まだ連絡を待っている女と、それを見守るホテルの幽霊の話。思ったよりテンプレなゴーストストーリーか。 ○どこにあるの、心臓 ★おすすめ もうサイコパス。変態のサイコパス。変態しかいない。途中で着地点は読めるけど、それでもやっぱりキツい。 ○肉 ★おすすめ うん、ヤバい。短めな短編だが、「どこにあるの、心臓」を軽く超える狂気だった。二人の少女の究極のファン行為。 ○誕生会でも洗礼式でもなく 誕生会でも洗礼式でもなく、そういった普通のイベント以外での撮影を専門とする男が出会った少女の話。エクソシストか?それとも虚偽か?どうやら前作にも関連するキャラが出ていたようで。 ○戻ってくる子供たち ★おすすめ 少し長めの短編。行方不明になった少年少女が、行方不明になった時のまま戻ってくる話。チェンジリング。じわじわと蝕まれていく、ねちっこい怖さが良い。 ○寝煙草の危険 表題作。火に誘われる女の話。不感症?自殺願望?短いながらも、この短編集の性格をギュッと詰めた話だと感じた。 ○わたしたちが死者と話していたとき ウィジャボードで行方不明者と会話をする5人の少女の話。これも、割とテンプレートなゴーストストーリー。特に日本はコックリさんがあるから、見たことがあるストーリー展開かも。

Posted by ブクログ

2023/09/23

・とっつきにくいかな?と思っていた読む前の印象と違い全然読みやすかった。訳が良い?のか?言葉も現代的なスラングも使われている所もあり、面白かった。 ・全体的に覆われる不穏感。ラテンアメリカ文学的は不思議さみたいのも感じるけど、何となく思っていたのは映画のJホラー的な不穏さ。何もま...

・とっつきにくいかな?と思っていた読む前の印象と違い全然読みやすかった。訳が良い?のか?言葉も現代的なスラングも使われている所もあり、面白かった。 ・全体的に覆われる不穏感。ラテンアメリカ文学的は不思議さみたいのも感じるけど、何となく思っていたのは映画のJホラー的な不穏さ。何もまだ起こってないのに何かが進行している様なドキドキ。日本的な環境とは明らかに違う場所での話なのにスッと入っていけるのは、その感覚の既視感があったから、かな?

Posted by ブクログ

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