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元の黙阿弥

奥山景布子(著者)

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 エイチアンドアイ
発売年月日 2023/01/17
JAN 9784908110122

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商品レビュー

3.5

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2023/11/20
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※このレビューにはネタバレを含みます

読み終わって、改めて上手いなぁと思ってしまう。主人公が「河竹黙阿弥(新七)」なので、当然幕末から明治半ばまでの、歌舞伎役者、座元とのやり取り、しがらみ、そしてネタ元などが話の中心。登場する歌舞伎役者達がイメージ(私だけのイメージかも知れないが)通りなので、ちょっと安心。守田勘弥とのやり取り、福地桜痴との確執なども、なるほどこんな感じだったのかなと、勿論フィクションだから実際は全然違うだろけど、ついそう思ってしまい面白かった。また所々に出てくる歌舞伎の科白も面白かった。 そして何より、その時代の江戸、東京の世情が、その時々に上演される歌舞伎を通して感じられた。「お上の御意向」に反発を覚えながらも仕方なく従って、そのように仕組まれた芝居は、どんなに名優を揃えても客はソッポを向き「不入り」となる。福地桜痴や9代目團十郎が上から目線で、西洋風の新しい歌舞伎を世間に認めさせようとしても、それが「独りよがり」の芝居なら世間の痛烈なる「しっぺ返し」を食らってしまう。また、両脚を失った田之助が上がる舞台にかかる掛け声「長谷川!」に、まともに演じることの出来ない田之助を揶揄する声だけでなく、愛する「俺達の田之助」を助けてくれる道具方「長谷川勘兵衛」の見事さに声を掛けたのではないだろうか。 本当ここに、庶民の誰某がどうとかいう展開はないにもかかわらず、何か庶民の息吹きを感じてしまう、そんな描き方がされている面白い小説だと思う。本当、上手いなぁと思う。

Posted by ブクログ

2023/08/14

近松半二、鶴屋南北に続く歌舞伎界を牽引した大歌舞伎作家の生涯。彼の作品は、セリフの七五調がリズミカルで美しく、小悪党を煌びやかにダークヒーローに仕立て上げる「白浪もの」が有名。全体に叙事詩のように、彼と時代を共にした数々の歌舞伎役者たちが列伝のように登場し、また、彼が生き抜いた時...

近松半二、鶴屋南北に続く歌舞伎界を牽引した大歌舞伎作家の生涯。彼の作品は、セリフの七五調がリズミカルで美しく、小悪党を煌びやかにダークヒーローに仕立て上げる「白浪もの」が有名。全体に叙事詩のように、彼と時代を共にした数々の歌舞伎役者たちが列伝のように登場し、また、彼が生き抜いた時代背景が描かれます。そのため、時代に翻弄される歌舞伎の歩みがわかりました。でも、肝心の黙阿弥が躍動しません。むしろ、田之助の人生が壮絶で、取り憑かれたように歌舞伎に打ち込む役者魂が鮮烈でした。であるなら、黙阿弥と田之助のタッグにフォーカスして、歌舞伎の一時代を築いたドラマを描く道もあったように思いました。

Posted by ブクログ

2023/06/26

歌舞伎をあまり知らない人でも、「知らざぁ言って聞かせやしょう」「こいつぁ春から縁起がいいわえ」といった七五調のセリフなら聞いたことがあるかもしれない。これらは、幕末から明治初期にかけて活躍した歌舞伎狂言作者、河竹黙阿弥(1816~1893)によるもの。激動期の歌舞伎界を支えた影の...

歌舞伎をあまり知らない人でも、「知らざぁ言って聞かせやしょう」「こいつぁ春から縁起がいいわえ」といった七五調のセリフなら聞いたことがあるかもしれない。これらは、幕末から明治初期にかけて活躍した歌舞伎狂言作者、河竹黙阿弥(1816~1893)によるもの。激動期の歌舞伎界を支えた影の立役者ならぬ立作者である。黙阿弥は隠居名で、作者としては新七の名を名乗った時期が長い。 新七は、七五調の流麗なセリフだけでなく、音楽を積極的に取り入れ、持ち前の絵心で絵画的な舞台構成を考案するなど、創意工夫にあふれた作者だった。盗賊物を得意としたが、大悪人というよりもどこか庶民的で因果に翻弄される小悪党が主。その姿は当時、社会の不条理にあえぐ観客たちの心に響いた。 明治維新後は、新政府の要求にこたえつつ、新時代の風俗なども取り入れ、散切物(散切頭の登場人物が特徴)や活歴物(なるべく史実に沿った時代物)、松羽目物(能・狂言に題を取る演目。背景に能舞台を真似た松を描く)にも取り組んだ。 本作は、新七を軸に、幕末から明治期の芝居小屋を描く。 章ごとに、新七から見た、当時の人気役者、海老蔵、小團次、左團次、田之助、團菊(團十郎と菊五郎)を追う。つまり、新七は主人公でもあるのだが、狂言回しの役目も果たす。 千両役者が現れては消え、そして時代も流れていく。新七は筆一本でその世界を渡っていく。 華やかに見える芝居の世界も裏は厳しい。興行主は資金をやりくりして役者を集め、観客の喜びそうな演目を組み合わせ、作者に執筆を依頼する。役者は役者同志、馬が合う合わないがあり、つばぜり合いもあり、妬み嫉みもある。作者は芝居の世界では比較的立場が低く、役者で客を呼ぶことはあっても、作者の名前で客が呼べるわけではない。 そんな中で新七は複数の芝居小屋に作品を書き、弟子に教え、時には助(スケ、助筆)もする。さて、己の望みは何だろうか、と時に考えながら。 圧巻はやはり、第四章の「田之助」だろうか。澤村田之助は、芝居中の怪我から脱疽を患い、両脚を切断しながらも舞台に出続けた伝説的な女形である。実力も美貌も備えながら、身体は不自由に。けれどもいざり車に乗ってでも舞台に出たいのだ。そしてまた田之助が出れば客も入るのだ。田之助は新七に「師匠、よう、書いておくれよ」という。ホンや道具に工夫があれば、脚がなくても自分は演じられる、と。師匠ならそんな話が書けるだろ、と。新七はそれに応えて芝居を書いてやるのだが、しかし、本当にそれでよかったのだろうか。 役者の「業」を感じさせる章。 著者は文学博士で、高校教諭や大学講師を経て創作に転じた。巻末の参考文献の多さも目を引く。 背景に膨大な資料があってこその作品世界。幕末から明治にかけて、芝居に身を投じたさまざまな人々が鮮やかに浮かび上がる。

Posted by ブクログ

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